資産運用で重要な3つのポイント
資産運用では、株や不動産、FX、ファンドなど様々な投資先があります。
それぞれに一長一短がありますが、どんな投資をするにしても共通して、以下の3つのポイントは必ず押さえておく必要があります。
- 複利で運用する
- 長期・安定をめざす
- 無理なく続けられる仕組みを選ぶ
これから投資を始めようという初心者の方は、特にしっかりと理解しておいて欲しいので、それぞれ順に解説していきましょう。
複利で運用する
資産運用を成功させる大前提には【複利】があります。
複利とは「運用によって得た利益を元金に加えて運用し、その利益を元に次の利益が計算される仕組み」のことです。
よく「配当が欲しい、配当で収入を得る」というオイシイ(ように聞こえる)話をする人もいますが、個人的に配当によって元本を崩すことはおすすめできません。
例えば、1,000万円を元手に年5%で運用するケースを考えてみましょう。
1年後には1,000万円→1,050万円になりますが、単利の場合この利益分50万円を配当として受け取ります。
元本が減るわけではありませんが、翌年もまた1,000万円を運用することになるので、利益は毎年50万円のままです。
一方の複利の場合、運用で得た利益50万円を引き出すことなく、翌年は1,050万円を元本として運用します。
その50万円を上乗せされた元本を運用することになるため、翌年の利益は52.5万円です。
このようにして利益を上乗せしながら運用の規模を大きくすることで、将来的に大きなリターンを得ることができます。
短い期間で比べるとその差は大したことないように思え、「それならば目先の利益が欲しい」と感じる人もいるかもしれません。
ですが、同じ年5%の運用でも長期間継続して積み立てることで、これほどまでに資産の膨らみ方は変わってきます。
(万円) | 元本 | 1年後 | 2年後 | 3年後 | 5年後 | 10年後 | 20年後 | 30年後 | 40年後 |
単利 | 1,000 | 1,050 | 1,100 | 1,150 | 1,200 | 1,250 | 1,500 | 2,000 | 2,500 |
複利 | 1,000 | 1,050 | 1,103 | 1,158 | 1,216 | 1,276 | 1,629 | 2,653 | 4,322 |
長期・安定をめざす
先述の通り、資産運用においては「複利」でコツコツと積み立てながら運用していくことが非常に重要ですが、この複利の効果は時間をかければかけるほど大きくなります。
複利の方はいわゆる「指数関数」で伸びていくので2,3年ではなく、10年、20年と継続することで大きな成果に繋がります。
そして、もう一つ大事なポイントが「いかに安定したパフォーマンスを出すことができるか」です。
例えば、同じ「平均年5%」の利回りだったとしても
- A:年+5%で固定
- B:年−5〜+15%
- C:年−10〜+20%
では10年後、20年後のパフォーマンスはこのように変わってきます。
このグラフからも明らかなように、平均すると同じパフォーマンスでも、より値動きが安定している方が、長期的に見るとより大きな資産を築けていることがわかります。
極端な例ですが、「資産2倍(+100%)と半分(−50%)」を繰り返すと平均は年+50%となりますが、この運用をいくら続けても資産は増えません
同じようなパフォーマンスだったとしても、より安定して成果を積み上げている方が将来的な価値は大きくなるのです。
無理なく続けられる仕組みを選ぶ
ここまでの解説の通り、資産運用では
- 長期運用を前提に複利で積み立て
- より安定したパフォーマンスを出す
ということが重要でしたが、これら2点を達成するために重要なのが「無理なく続けられる仕組み」で運用することです。
当たり前のことでありながら、投資をスタートする人が見落としてしまいがちなポイントなので、これから運用を始めようという人や、新規の投資先を探す際には必ず検討するようにしてください。
無理なく続けるための1つ目のポイントは「運用に手間や時間をかけないこと」です。
例えば、いわゆるデイトレーダーのように一日中画面に張り付いて市場と睨めっこするような投資スタイルや、プレスリリースや決算などの情報を随時チェックし、即座に売買注文をするような投資の方法は、ほとんどの方にとって現実的ではないでしょう。
もちろんそれを専門としている人は別ですが
自身の仕事がある人たちはほったらかしで運用できるようなものに投資することをおすすめします。
資産運用のコツ
資産運用で重要なポイントは
- 長期積立で複利の力をフル活用
- より安定した運用で成果を最大化
- ほったらかしにできるくらいの無理のない運用で長期継続
でした。
これらを踏まえると、闇雲に投資を始めてはいけないことがわかります。
資産運用において重要なのは「計画性と適切な運用目標」です。
今ある資産や、年齢、将来必要な資産から逆算して、適切な利回り目標を設定するようにしましょう。
「老後資金2,000万円」などとも言われていますが、首都圏などである程度余裕を持った生活をするためには「1億円」が必要との試算もあります。
「1億」と聞くと途方もない金額にも思えますが、先述の通り複利できちんと運用すれば決して非現実的な数字ははありません。
仮に70歳まで運用するとした場合、元本・運用期間ごとの必要な利回りは以下の通りです。
- 30歳 ×元本1,000万円を運用 ➡︎ 年6.0%で40年
- 30歳 ×元本1,500万円を運用 ➡︎ 年4.9%で40年
- 40歳 ×元本1,500万円を運用 ➡︎ 年6.6%で30年
- 40歳 ×元本2,000万円を運用 ➡︎ 年5.6%で30年
- 50歳 ×元本2,500万円を運用 ➡︎ 年7.2%で20年
- 50歳 ×元本3,000万円を運用 ➡︎ 年8.5%で20年
この数字を見てもわかる通り「1億」という目標を設定したとしても、年10%、20%というような途方もない利回りは必要ありません。
大事なのは、目先の利益(パフォーマンス)を追求するのではなく、長い時間をかけてじっくりコツコツと運用を継続することです。
実際、プロの投資家(機関投資家、投資銀行など)でも、年15%を超えるようなパフォーマンスを継続することは簡単ではありません。
個人で運用するのであれば、年5%程度を目標にするのが適切とされています。
初心者におすすめの投資先
では、最後に「無理なく年5~8%程度で長期・安定して運用を続けられる」おすすめの運用方法について考えてみましょう。
長期での資産形成でまずはじめに思い浮かぶのは「不動産投資」です。
不動産投資は、年10%、20%というような利回りが期待しにくい一方で、優良な物件さえ見極めることができれば、安定収入が期待できる伝統的な投資方法です。
管理会社に管理を委託し、安定した入居が維持されれば、投資家(オーナー)はほとんど何もすることなく運用を続けることができます。
不動産投資ならではの特徴に「頭金(自己資本)を抑えて運用できる」という点があります。
通常は、投資を始めるにあたっては元手となる自己資金が必要になりますが、社会的信用があり銀行からの融資(ローン)を受けることができれば、持ち出しを限りなく小さく抑えて数千万円単位の投資をすることも可能です。
一方で、コツコツと積み立てるようなことは難しいので、数年単位で資産状況を見直し、新規の物件の購入(追加投資)や物件の買い替えを検討する必要があります。
もう一つおすすめなのが「ヘッジファンド」です。
ヘッジファンドは、あまり馴染みのない人もいるかもしれませんが、投資のプロであるファンドに資金を預け、運用を一任するサービスです。
ヘッジファンドにもタイプが様々ありますが、当然「リスクを抑えて安定的に運用すること」に長けたファンドも存在します。
年10〜15%程度のパフォーマンスを出しているファンドであれば、手数料控除後でも年6〜8%程度のリターンが期待できるでしょう。
ヘッジファンドは、
- 運用は丸投げなので投資家の負担がない
- 積み立てて複利で運用しやすい
と長期資産形成に適したメリットがあります。
一方で「最低1,000万円」など、出資の際にある程度のハードルも求められる点には注意が必要です。
個別のファンドについては以下のページでも色々と評価・紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。