大量保有報告書とは
大量保有報告書とは、金融商品取引所に上場している株券等について、発行済み株式数の5%超を保有することとなった株主が、大量保有者となった日から5日以内に内閣総理大臣(財務局長)に提出しなければならない書類のことです。
このルールは一般に「5%ルール」とも呼ばれています。
大量保有報告書は、金融商品取引所や証券業協会、発行会社にも遅滞なく提出することが義務付けられており、報告書には保有割合に関する事項、取得資金に関する事項、保有の目的などが詳細に記載されます。さらに、大量保有者は報告書提出後に保有割合が1%以上増減した場合や記載内容に変更が生じた場合には、その内容を変更報告書として都度内閣総理大臣に提出しなければなりません。
大量保有報告書が必要な理由と背景
大量保有報告書の制度は、株式の買い占めが横行していた時期に導入されました。
株式市場では、経営参加や取引関係強化、高値による売り抜けを目的とした株式の買い占めが頻発し、その結果として株価の乱高下が生じ、情報を持たない投資家が不測の損害を被ることが多くありました。
このような状況を受け、投資家保護と市場の公正性・透明性を高める目的で、欧米諸国の規制を参考にしつつ、平成2年に証券取引法が改正され、この「5%ルール」が導入されました。
当初、このルールでは、株式の売買を頻繁に行う金融機関や投資顧問会社等の機関投資家については、発行会社の事業活動を支配する目的でない株式等の保有に対して特例として3カ月に1度の報告でよいとされていました。
しかし、株主提案を行おうとする投資ファンド等が、この特例を利用して取得目的を「事業支配目的でない」と偽るケースが見られたため、平成18年12月に特例報告制度が見直され、取得目的が「事業支配目的」でなくとも、「事業支配に重大な変更を加え、または重要な影響を及ぼす行為(重要提案行為)」を行う場合には特例が適用されないことが明確化されました。
さらに、特例が適用された場合でも、報告義務の基準日は従来の3カ月ごとから毎月2回に変更され、提出期限も設定した基準日の5営業日以内とするなど、報告義務が強化されました。
このように、大量保有報告書制度は投資家保護と市場の透明性を高めるための重要な仕組みであり、情報開示を徹底することで市場の信頼性を維持する役割を果たしています。
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