「資産運用に興味があるけど何をすればいいか分からない」
「投資初心者でもできる?」
「投資はリスクがあるから怖い!やらなくてもいい?」
「とりあえず投資信託を買ってるけどこれであっているの?」
このような悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。増税や値上げなどで支出は増え、給料や預貯金だけでは厳しい時代。何かしたほうがいいと思うけど今後どう対策すればいいのか分からないことも多いでしょう。
そこで今回は
- 資産運用が必要な理由と考え方
- 自分に合った資産運用手法を選ぶコツ
- 特にオススメの資産運用方法
これらを解説します。資産運用の考え方や個人ができるオススメの投資手法を学んで、あなたに合った資産形成を行っていきましょう。
1分でわかる資産運用の考え方とおすすめ投資手法
まずは今回の記事で説明する主な内容を簡単に紹介します。詳しくはぜひ記事後半で確認してみてください。
資産運用の考え方と選ぶコツ
- 余剰資金ではじめる
- 目標を立てて計画的に運用する
- リスク許容度に合わせた投資先を選ぶ
- 分散投資でリスクを減らす
世の中にはさまざまな投資手法や金融商品があります。それぞれメリットやデメリット、向き不向きがあるので、自分に合ったものを選んでいく必要があります。
今回は個人で投資初心者の場合もおすすめできるものを紹介します。投資の判断基準と合わせて確認してみてください。
おすすめの投資方法
- まずは投資信託(ETF)かヘッジファンドから始める
- ETFかファンドかは運用資金に応じて選ぶ
- 余裕が出てきたら株や不動産も検討する
もちろん投資の手法は様々あり個人の特性や得意不得意、好みなどによってもおすすめは分かれますが、ここでは投資初心者や広く一般の人たちにおすすめの方法を解説します。なぜこれらの方法がおすすめなのか、詳しくはここから解説していくのでぜひ最後まで目を通してみてください。
資産運用の考え方
資産運用の基本的な考え方
闇雲に儲かりそうな案件に手を出すと、資産運用でお金を増やすどころか減らすおそれもあります。ネット上でも詐欺や怪しい投資手法も多いからこそ、できる限り失敗を減らしてコツコツ運用する基本的な考え方を確認しましょう。
「資産運用が大事!投資を始めよう!」というと、闇雲に投資に資金をつぎ込む人がいますが、投資は必ず余剰資金で行うことが重要です。
もちろん、投資に充てる資金を捻出するために、収入を増やしたり節約して支出を減らすことも大事ですが、生活に必要な資金まで手を出さないように注意してください。特に初心者の場合は、資産運用の仕組みや金融商品の中身をよく理解しないまま始めることも多く、余剰資金ではなく生活資金を入れてしまった場合万一失敗すると大変です。
株などはすぐに売却して現金に戻すこともできますが、本来ならば投資を続けたいタイミングで手元の現金欲しさに売却しなければならないようなことが続くといつまで経っても安定して運用することができません。
投資は当然一時的に資産が減ったり失うリスクもあります。ですが、短期的な上げ下げに一喜一憂せずじっくりと耐えて継続することで、将来的に大きなリターンを得ることができるのです。
一度投資した資金は5年、10年と続けられるように、急に必要になることがない余裕の範囲内で投資することが重要です。
なぜ資産運用が必要なのか
そもそもなぜ資産運用をしなければならないのか、さまざまな投資を始める前にまずはこちらをはっきりさせましょう。きちんと目的やゴールをはっきりとさせないと、儲かりそうな手段ばかり探してしまい、資産運用でお金を増やすどころか減らす一方になりかねないからです。
資産運用が必要な理由は大きく2つあり端的に言ってしまうと「会社の給料だけでは生活が厳しくなるから」と「ほっとくと資産は目減りしていくから」です。
会社の給料だけでは不足する
- 給料は上がらない
- 物価上昇(値上げ)
- 税金や社会保険料の負担増
これらは度々テレビやネットニュースで話題になりますが、もはや個人の労働収入に頼って節約で資金を捻出するには限界があります。
そのため給料以外の収入を資産運用で作らなければなりません。
2023年2月7日に厚生労働省が発表したデータ(2022年の毎月勤労統計調査)によると、物価変動の影響を考慮した実質賃金は前年に比べて0.9%減少。
名目賃金にあたる1人当たりの現金給与総額は月平均32万6157円で、前年に比べて2.1%増えてはいますが、物価の上昇幅が給与のそれを上回ったということで、個人の収入も少々上がってはいますが物価上昇に追いついていない状況が浮き彫りになった形です。
スーパーなどに行くと食料品の値上げも目立ちます。10%以上値上げされ、価格が変わらなくても明らかに容量が減ったものもあります。
電気料金の値上げも話題になりました。2023年3月分は負担軽減策によって、一般家庭の電気料金が約2000円値下がりするものの、4月以降は再び値上げされる可能性もあります。北海道、東北、北陸、東京、中国、四国、沖縄の各電力会社は4月〜6月から平均28〜45%の値上げを国に申請しました。最終的な判断は国が行いますが、関西を含めて全国的に今後も値上げされる方向に変わりはないと思われます。
税金や社会保険料の負担増も問題です。
財務省によると、税金と社会保険料の負担率を合計した国民負担率は、令和4年度は46.5%になる見通しです。収入の約半分が持っていかれる計算です。
このように給料も少しずつ上がっているかもしれませんが、それ以上に物価や税金、社会保険の負担の方が大きく増えてきています。
- 名目賃金以上に物価が上がって実質賃金は下がった
- 続々と値上げ、電気料金のニュースも話題に
- 税金や社会保険料の負担増
これでは、少し給料が上がったくらいでは「焼け石に水」状態といっても過言ではありません。今後も劇的な給料アップが見込めない以上、個人個人が資産運用でカバーしていく必要があります。
資産運用は「やったほうがいい」のではなく「やらないといけない」段階になっていると言えますね。
運用しないと資産が目減りする
「投資はリスクがあるから怖い」
「預貯金は無駄遣いしなければ減らないから大丈夫」
と思っている人もいるかもしれませんが、何も対策しなければ資産は目減りします。
物価が上がっているということは、相対的に今ある資産の価値は下がっています。
政府や日銀が目標としている「年2%の物価上昇」が続く場合、相対的に今ある手元の資金の価値は目減りしていき、100万円の現金・預金の20年後の価値は約67万円まで下がります。
参考:老後に直撃?「インフレ」は暮らしにどう影響するのか | 野村證券
見た目の数字は変わらなくても、値上げ(物価上昇)によって買えるモノが減るので、実際の価値は下がっていってしまうのです。この試算を考えても、今後ますます「値上げや税金・社会保険料の負担増に負けない資産運用」が必要と言えるでしょう。
資産運用をした場合としない場合
「自分は無駄遣いしない、預貯金もしっかりあるから問題ない」と考える方も多いかもしれません。ただ、これには大きな落とし穴があります。預貯金のみでは将来的に資産が目減りする可能性が高いからです。
預貯金100万円を資産運用した場合と、しなかった場合を比べてみましょう。運用期間を20年として、
- 普通預金の場合:年0.002%
- 資産運用の場合:年5%
を比べてみたいと思います。
この場合
- 預貯金のみ:100万円 →[20年後]100万400円(+400円)
- 資産運用した:100万円 →[20年後]265万3298円(+1,653,298円)
となり、資産運用をする/しないでは大きく差が開くことが分かります。(※参考:複利計算(元利合計) – 高精度計算サイト)
たった年5%の運用でも、20年後の資産は2.6倍以上も差ができてしまうのです。この比較を見ても、少しでも早く着実な資産運用を始める必要があることがわかります。
自分に合った運用手法を選ぶコツ
世の中にはたくさんの金融商品や資産運用方法がありますが「この投資をすれば絶対に儲かる」といった答えはありません。
「初心者はとりあえず投資信託を買っておけばOK!」という意見もあるようですが、投資信託1つとっても様々な種類がありますし、人それぞれ置かれている状況が変われば、それにあった運用方法も変わってきます。
「つみたてNISAをやっておけば大丈夫ですか?」
「とりあえずインデックス投資を選んでおけば問題ないですか?」
「投資信託以外はやらなくてもいいですか?」
このような質問が出ることもありますが「人による」としか言えません。個人の年齢や資産、資産運用する目的、とれるリスク、投資期間、プロに任せるか自分で運用するかなどによって変わるからです。
資産運用の目的や期間で選ぶ
「65歳までに2000万円作りたい」
「子どもが15歳になる時に教育資金として1000万円作りたい」
「1年後に100万円利益を出したい」
など資産運用に求めるものは人それぞれです。
自分のニーズに合った資産運用方法を選ぶためにも
- 何歳までにいくら資産を積み上げたいのか
- 何のために資産運用をするのか(老後資金、子どもの大学進学費用、海外旅行など)
- 短期か長期か、どのくらい投資期間をとれるのか
- どのくらいリスクをとれるのか
- 資産運用はプロに任せるか自分でするか
このあたりは最低限確認しましょう。
目的次第でとるリスクや資産運用方法は変化します。20年以上の長期で運用する場合はファンドなどが向いていますが、1年後など短期で大きな利益を狙いたい場合は株式やFXなどのデイトレードが良いかもしれません。
もちろん「65歳までに2000万円」というのも30歳の人か50歳の人かで運用できる期間は変わってきますし、投資に回せる金額によっても必要な利回りは変わってきます。
「短期より長期で複利を最大限活用してコツコツ運用したい人」と「5年で資産を2倍にしたい人」、「大きな資金はないけど毎月3万円程度なら投資に回せる人」と「いま貯金が3000万円以上ある人」ではおすすめできるものは変わってきます。
全ての人に万能な資産運用の方法はありません。
- 何歳までに(何年間で)いくら必要なのか
- 投資資金はいくらからスタートするのか(月々いくら積み立てるのか)
を明確にして資産運用を始めましょう。
また、
- 自分自身で運用したいのか、ポートフォリオの組み立てをプロに任せたいのか
- 投資や金融の知識があるのか、勉強することは得意かどうか
- 実際に株の売買をしたり企業について調べたりする時間の余裕はあるのか、忙しいのか
など、得意不得意によってもそれにあっている投資方法は変わってきます。投資に向き合うスタイルについても合わせて考えてみると良いでしょう。
自分がとれるリスク許容度をもとに選ぶ
どれだけリスクをとれるのかによって資産運用方法は変わります。
仮に「2000万円」という目標を定めたとしても、「何がなんでも絶対に2000万円以上欲しい人」と「最悪2000万円に届かなくても良いので元本を大きく割らないようにしたい」人では、おすすめできる投資は変わってきます。
時間かかってもできる限りリスクをとりたくない場合はコツコツ運用するファンドなど、積極的にリスクをとって大きな利益を狙いたい場合は個別株やFXのトレード、暗号資産投資が向いています。
必ず分散投資をする(卵は一つのカゴに盛るな)
どの手法を選ぶ場合でも資産は必ず複数の投資先を確保して分散しましょう。
万能な金融商品は存在しません。
例えば投資信託は少ない資金でも始められて長期運用できるメリットがありますが、すぐに大きなリターンを狙いにくく即効性がない、相場や景気に左右されやすいといったデメリットがあります。一方で、相場に左右されないリターンが期待できるヘッジファンドは投資信託とは異なりまとまった資金がなければ始めることができません。
このようにどれもメリットデメリットがあります。それぞれのデメリットをカバーし合う形で分散投資をしましょう。分散して資産を配置することで、万一の損失を最小限に抑えられます。
さまざまな資産運用の手法
自分のニーズが明確になったら、それに合った資産運用手法を選んでいきます。今回はさまざまな投資の種類、それぞれのメリットデメリットも整理して紹介します。
株式投資
投資といえばまずこれを思い浮かべる人も多いのが株式投資です。これから成長しそうな企業の株式を購入し株価が上がったら売る形で運用する方法(キャピタルゲイン)と、株式を保有しながら配当金や優待を受ける方法(インカムゲイン)の2種類があります。
「安く買って高く売る」ビジネスや投資の基本を実践的に学べるのは大きいですね。キャピタルゲインを狙わず、株主優待狙いで購入する人もいます。例えば鉄道会社の株式を購入して切符をお得に手に入れたり、テーマパークの株式を購入してお得に遊んだりといった具合です。
メリット
- 持っているだけでも配当金や優待を受けられる
- 企業が大きく成長すると高いリターンを狙える
- 企業情報だけでなく世界経済の勉強ができる
デメリット
- 企業、政治、経済など各方面にアンテナを張って勉強しなければならない
- 金融危機等が発生すると短期間で暴落するおそれもある
- 個別株の場合はまとまったお金が必要
ただ資産運用をするのではなく、株式を保有して配当金や株主優待の特典を楽しみたい、リスクをとりながら株式の売買差益を大きく狙いたい方にはおすすめです。
投資信託
各投資家から資金を集めて、運用会社が自分のかわりに運用してくれるものです。iDeCoやNISAを活用する場合にはほとんどが投資信託に投資することになります。
投資信託には大きく分けてインデックス投資型とアクティブ投資型の2種類あります。
インデックス投資型の投資信託は日経平均株価や東証株価指数TOPIX、NYダウ平均株価、S&P500などの指標に連動して、それぞれ構成する銘柄に分散投資できます。例えば日経平均株価は225社で構成されており、投資する対象は決まっているので手間がかからず手数料を抑えられるメリットがあります。
手数料が安いので「とりあえず迷ったらインデックス型の投資信託を買っておけばOK」と言われるほどです。
確かに手数料は安く、長期で見ると安定しているようにも見えますが、各指標は世界経済の影響を大きく受けるので、金融危機などが発生すると利益が大きく下がってしまう可能性もあります。
インデックス型の投資信託に投資する場合は、ETF(上場投資信託)を使うのもおすすめです。
運用会社に任せる点は通常の投資信託と同じですが、ETFは通常の投資信託とは違い、価格をリアルタイムで確認して必要に応じて売買できるのが大きな特徴です。また通常の投資信託よりも手数料が安く、株式投資に近い感覚で分散投資ができます。
一方のアクティブ投資型の投資信託は、それぞれの指標を上回る成績を目指して運用されます。運用会社が世の中にある無数の金融商品の中から、独自の目利きや戦略で値上がりしそうな銘柄を探し出して投資します。ひふみ投信や、セゾン投信などが有名です。
例えば株式は好景気の時に強いと言われ、債券は不景気の時に強いと言われます。そのため、景気が上向きのときは株式の比率を上げ、逆に下向きのときは債券の比率を上げて守りを固めるといったことも可能です。
指標に縛られず、顧客のニーズや相場の状況に合わせて臨機応変に対応でき、それぞれの運用手法のメリットを活かした投資ができるのが大きな特徴ですが、インデックス型よりも自由度が高い一方で、運用担当者の手腕に左右されることも多く、手数料も高くなりやすいデメリットがあります。
メリット
- 誰でも手軽に分散投資できる
- 少額からでも始めやすい
- ETFに投資すればさらに手数料を抑えられる
デメリット
- 口座管理や売買等で手数料がかかる
- 商品の種類が多くて迷いやすい
- 景気や相場に左右される(インデックス投資型)
- 運用会社の腕に左右される(アクティブ投資型)
まずは少額から始めていきたい、手数料を抑えてコツコツ投資したい、大きな流れに乗っていきたいという人には向いています。
債券
企業や国、地方自治体などが返済期日(満期償還日)を定めて資金を集める方法です。個人も企業や国などに余っているお金を貸すことができます。企業が発行する債券は社債、国が発行するものは国債です。
債券を購入すると、満期まで特にすることなく利息を受け取り、満期後は利息を乗せて資金が返ってくるため、投資初心者でも仕組みが分かりやすいのが大きな特徴です。ただし、あくまでも金利なので年数%とあまり高いリターンは期待できません。
また、株式投資は業績変動や不祥事リスク、SNSの評判、世界経済や政治情勢などによって株価が左右されますが、債券投資の場合、あらかじめ決められた金利が支払われ、満期になれば額面の金額が償還されるため基本的に元本割れの心配がありませんが、企業や国、地方自治体などが満期までに倒産すると、元本や利息の支払いが滞ったり返ってこないおそれもあります。
そのため債券投資をする前は、対象の企業や国、地方自治体の業績や財政状況を必ず確認しましょう。
メリット
- 初心者にも仕組みが分かりやすい
- 不景気に強い
- 購入時に返済期日(満期償還日)が分かるので、お金が返ってくるタイミングを把握できる
デメリット
- 大きなリターンは狙いにくい
- 投資対象が倒産した場合、償還されないリスクがある
- 途中で売却すると元本割れする可能性がある
基本的には債券を保有しながら利息をもらうインカムゲイン狙いですが、満期が来る前に債券を売却して売買差益を狙うことも可能です。ただ、債券価格は日々変動するので、場合によっては元本割れする可能性もあります。初心者には判断が難しいのであまりおすすめはできません。
不動産投資
物件を購入して家賃(インカムゲイン)や売買益(キャピタルゲイン)を狙うものです。
資金が少なくても個人の信用力(与信)を使って金融機関から借り入れて、資産運用を始められるのが大きな特徴です。特に信用力が高い公務員や大企業の会社員には大きな武器になりうる手段です。
メリット
- まとまったお金がなくても金融機関から借り入れて始められる
- 物件によっては将来的に大きなリターンを狙える
- 生命保険としても活用できる
デメリット
- 場合によっては将来ローンが払えないリスクがある
- 不動産会社や管理会社等の見極めが難しい
- 物件の価値や家賃が下落するリスクがある
ローンを組んで資産運用をするので、将来払えなくなるリスクや物件を管理する手間などのデメリットもあります。不動産投資はしっかり勉強して会社の見極めも行っていく必要があるので、不動産投資の専門企業に相談する必要があります。
J-REIT
不動産投資の投資信託版ともいえるのがJ-REITです。仕組みは投資信託と同じで、投資家から資金を集めて運用会社が物件を購入して投資します。
自分で不動産を買うのではなく、投資信託化された証券を通じて、間接的に不動産に投資するので、まだ実績がない会社経営者や個人事業主などローンが組めない場合も始められるのは大きいですね。
メリット
- 不動産投資よりも少額から始められる
- ローンを組めない場合もできる
- 物件の購入や管理の手間がかからない
デメリット
- 特に海外の場合は詐欺も多いので見極めが大変
- 運用会社が倒産するリスクがある
- 不動産市場や社会の影響を受ける
一般的な不動産投資よりは手軽に始められるものの、それでも不動産投資の仕組みや業界情報などを学ぶ必要があり、初心者にはハードルが高いです。
FX, 先物取引
FXは外国為替証拠金取引と呼ばれ、複数の通貨間で為替取引を行って差益を狙う手法です。米ドルと日本円、ユーロと米ドルなど、さまざまな組み合わせが存在します。為替レートの動きを見ながら、買って売る、先に売ってから買い戻すといった取引を行います。
証拠金と呼ばれる資金を入れ、レバレッジといって証拠金の何十倍以上の金額で資産運用できるのが大きな特徴です。海外FXの場合は何百倍と大きなお金を動かすこともできます。
少ない資金で大きなお金を動かせるメリットがある一方で、損失が出ると追証といって、証券会社が肩代わりしたものを後で穴埋めする必要があります。1日で数千万、数億のお金が吹き飛んだニュースが話題になることもありますが、為替レートや証拠金の状況によっては大きなリスクになります。「FXはハイリスクだからやるな」と言われることが多いのはこのためです。
同じような特徴を持つのが先物取引です。金融商品だけでなく石油や電力などエネルギー等に投資することもでき、将来どうなるか予想して投資します。もちろん予想が外れると大きな損失を抱えるリスクもあります。取引が実行されるタイミングが決まっているので、損失や利益の大きさに関係なく決済されるのもデメリットになる可能性があります。
メリット
- 少ない資金でも始められる
- レバレッジ効果を活かして大きなリターンを狙える
- 短期間の売買取引ができる
デメリット
- 専門的な知識の勉強が欠かせない
- 損失によっては追証が発生するリスクがある
- 相場状況の確認が必要で一喜一憂しやすい
もちろん他の投資もそうですが、特にFXをやる場合は必ず余剰資金で行いましょう。海外FXの場合はゼロカットシステムといって追証制度がない証券会社もあります。いざという時に借金せずに済むのは大きいですが、その分手数料が高く設定されていることもあります。
口座開設や入出金の方法、アプリの操作方法、専門用語の理解など少しずつ覚えて慣れる必要があります。ある程度慣れるまでは少額かつ低いレバレッジで経験を積むことをおすすめします。
外貨預金
日本円を外貨に交換して金融機関に預けるものです。2022年末に急激な円安が話題になったときは外貨預金の申込みや残高が一気に増えたニュースもありました。
基本的な仕組みは通常の預貯金と同じで、日本円ではなく外貨で持ったほうが金利が高くて為替差益も得られると期待されるのが人気の理由です。
FXと混同してしまう人が多いですが、こちらはあくまでも金利差で利益を狙います。ただし、FX同様に為替の動きによっては金利差以上の損失を被る可能性もあるので注意してください。
メリット
- 通常の預金よりも金利が高くなりやすい
- 円安になると為替差益を得られる
- 外貨を保有できる
デメリット
- 手数料が高い
- 円高になると為替差益で損する
- 国内では外貨をそのまま出金できないことが多い
とにかく手数料が高いので初心者にはおすすめできません。もし通貨分散のために外貨を保有したい場合は、国内ではなく海外の金融機関に直接口座を開いて預貯金することをおすすめします。
暗号資産(仮想通貨)
ビットコインやイーサリアムといった暗号資産に投資する方法です。一時期、仮想通貨で大稼ぎした人たちが話題になり、WEB3.0やメタバース、NFT、DAOといった専門用語も出てきて、書店などで特集されている様子を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
「仮想通貨なんて…」と思う人もいるかもしれませんが、実は国もWEB3.0を推奨しています。例えば総務省では「Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会」を定期的に開催し、「利用者利便の向上、その適切かつ円滑な提供及びイノベーションの創出に向け」て活動しています。
参考:総務省|Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会
メリット
- 値動きが激しく大きなリターンを狙いやすい
- 政府も力を入れており今後大きく飛躍する可能性もある
- 最新の金融情勢を学べ、最先端の資産を保有できる
デメリット
- まだまだ未成熟で見極めが難しい
- 場合によっては大きな損失を抱えるリスクがある
- 詐欺などにも注意
WEB3.0の根幹になるのが暗号資産の技術です。国が研究会や勉強会を開いて見識を深めている以上、将来的に無視できない存在になっていく可能性が高いです。
もちろんまだまだ未成熟な部分や詐欺なども多いので注意したいですが、少しずつ資産運用で関わるのも良いかもしれません。
保険
日本では預貯金の次に使っている人が多いといっても過言ではないのが保険です。病気や怪我などのリスクに備えながら資産運用もできるとして、貯蓄型保険や外貨建て保険も人気です。
貯蓄型の場合、支払っている保険料は自動で積み立てられ、保険会社がその間運用してくれます。任せて安心という面もある一方、運用のレベルには注意しなければいけません。
保険の最大のメリットは、なんといっても掛け金(支払った保険料)以上の保証が受けられる点です。通常の投資は、いままで積み立てた元本と利益の合計(時価総額)を取り崩す形になります。200万円しかないのに3000万円欲しいといった要求はできません。
ただし保険の場合は異なります。契約した1週間後に何かあった場合、5000円しか保険料を払っていなくても数百万〜数千万円単位の保険金が出ることもあります。もちろん契約内容にもよるので一概にはいえませんが、これができるのが保険の強みです。
メリット
- 万一に備えながら資産運用もできる
- 払った保険料以上の保証を受けられる可能性もある
- 資産運用を保険会社に任せられる
デメリット
- 保険料や手数料が割高になりやすい
- 仕組みや内容が複雑で分かりにくい
- 満期前に解約すると元本割れするリスクがある
保険に支払う保険料からは、手数料が引かれるため、全額が資産運用に回るわけではない点にも注意が必要です。あくまでも投資で資産を増やすよりは「保険」として使うことがメインなので、割引率も高く大きく資産を増やすためのものではありません。
ヘッジファンド
日本ではまだあまり馴染みがないかもしれませんが、世界的に見て最も資産運用として価値が高いとされているのがヘッジファンドです。
ヘッジファンドは、投資のプロ中のプロであるファンドマネージャに資産を預けて、投資を一任します。プロに完全に任せることができるので、誰でも安心して投資を始められる点や、プロの手によって安定したリターンが期待できるといったメリットがありますが、一方で「最低金額のハードルが高い」「情報が少なくて良いファンドを探し出すのが大変」といったデメリットもあります。
メリット
- 投資のプロに運用を一任できる
- プロの力で安定したリターンが期待できる
- 投資初心者や忙しくて時間が取れない人でも安心して始めやすい
デメリット
- 最低金額が高い
- 良いファンドを探し出すのが大変
- 怪しいファンドもあるので注意が必要
「ヘッジファンド=ハイリスク、投資先に対して敵対的」というイメージもあるかもしれませんが、そこはファンドによって様々で、有効的なファンドもあれば、リスクを抑えて安定的に運用することに長けたファンドもあります。運用資金に余裕のある人は、ぜひ一度検討したい投資先です。
預貯金
ここまでずっと資産運用の話をしておいて、最後に「預貯金」?と思う人もいるかもしれませんが、預貯金も立派な運用の一つです。確かに、金利の低い昨今では銀行にいくら現金を預けていても資産は増えませんが、「減らないところに置いておく」という形の立派な資産運用です。
預金のメリットは、なんと言っても元本が減らない点といつでも簡単に引き出せることでしょう。株やFXをやっている人にとっては「いつでも引き出せることの何がメリットなの?」と思うかもしれませんが、債券には満期があったり、不動産は売却までに時間がかかったり、ヘッジファンドは特定のタイミングでしか入出金ができなかったりと、運用方法によっては制限があります(これを「流動性」と言います)。
一方のデメリットは、もちろんほとんどリターンがないところです。2023年現在の、メガバンクの金利は0.002%、金利が高いネット銀行でも0.1〜0.2%程度とほとんど無いに等しいレベルです。
メリット
- 元本保証
- いつでも入出金できる
デメリット
- ほとんどリターンが無い(金利が低い)
「資産運用」という感覚からは遠いかもしれませんが、ご自身の資産全体のうち、どの程度を投資に回して、どの程度を貯蓄としてキープするのかを考えるのも重要なことです。
初心者にオススメの資産運用は?
さまざまな資産運用方法について紹介してきましたが、これだけ種類があると何に手を出して良いのか迷ってしてしまう人もいるでしょう。「初心者はとりあえず投資信託」という考えは正しいのでしょうか。投資初心者はまず何から始めたらいいのか解説します。
まずはこの投資から始める
これから投資を始める人は、資金に余裕がない人/少額からスタートしたい人は「投資信託」、十分な運用資金がある人は「ヘッジファンド」がおすすめです。
投資信託のメリットは、なんと言っても「少額からスタートできること」です。月1000円程度から始めることができますし、積立投資も簡単、NISAやiDeCoといった制度を活用すれば税金の面でも優遇されるので、「まずは」という人にはおすすめできます。
特に、先ほど紹介したETFであれば、手数料も安いですし、日本やアメリカ、世界といったマーケット全体に投資することになるので、分散投資の効果も高く、リスクも小さくスタートすることができます。
「日本株のETF」と「米国株のETF」を組み合わせるなどすれば、さらに分散してリスクを軽減することもできます。
短期的に大きなリターンが得られたりすることはほとんどありませんが、コツコツ投資の勉強を始めるのにはうってつけです。
もし資金に余裕がある、まとまった資産を運用したいと考えているのであれば「ヘッジファンド」の方がおすすめです。
ヘッジファンドに預ければ、ポートフォリオの作成から売買までプロに丸ごとお任せできるので、投資の知識や経験がない初心者はもちろん、投資にかける時間があまり取れないという忙しい人たちにも適しています。
投資金額のハードルなどもありますが、投資の始め先としてこれ以上ないと言っても良いものなので、1000万円以上の運用を考えている方などはぜひ色々と見てみてください。
情報が少ないヘッジファンドですが、おすすめファンドやファンド選びのポイントなども紹介しているので、ぜひこちらも参考にしてみてください。
投資に慣れてきたら
投資信託やヘッジファンドを通じて投資をすることに慣れてきたら、株や不動産など、自身で運用する手法に手を広げていくのもアリです。ですが、ここでもあまりリスクの高すぎるFXや先物、暗号資産などは慎重になることをおすすめします。
資産運用の基本は、あくまでも「長期・コツコツ・安定」の3本柱です。宝くじ感覚で仮想通貨などを買ってみるのも面白いでしょうが、目先の利益に囚われることなく、あくまでも「無くなっても良い」ぐらいの少額か余剰資金の範囲内で行うことをおすすめします。
どの投資をする場合も資金管理、リスク管理は徹底させる必要があります。
細かい運用やポートフォリオの組み立てをプロに任せる場合でも、自分は全財産のうちいくら投資に回していて、どのようなポートフォリオでお金を配置しているのか、常に確認するようにしたいですね。
まとめ
個人の初心者もできるオススメの資産運用10選を中心に解説しました。
- 資産運用なしでは生き残れない時代になっている
- 資産運用は目的・目標を明確にして、リスクにあった投資先を選ぶ
- 必ず分散投資して資金を一箇所に集中させない
- 少額からはじめるなら投資信託、資金に余裕がある人はヘッジファンドがおすすめ
- 他の手法に手を出す場合でもリスク管理は徹底する
預貯金だけではこの先じわじわ資産は目減りします。物価上昇(値上げ)に負けないためにも、最低でも年2%以上資産を増やしていかなければなりません。給料が劇的に上がる期待は薄い以上、投資は必須です。
投資することで資産が減ってしまうリスクもゼロではありませんが、「投資はリスクがあるから何もしない!」は一番もったいないしハイリスクです。
ぜひこの機会にご自身の資産や将来設計、運用計画について考えてみてください。