【用語解説】FATCA

FATCAとは

FATCA（ファトカ）とは、「Foreign Account Tax Compliance Act」の略称で、日本語では「外国口座税務コンプライアンス法」のことであり、2010年に米国が制定した法律です。

FATCA主な目的は、米国の納税義務者が租税回避を目的として海外の金融機関を利用することを防止することにあります。

 

FATCAでは米国の納税義務者が米国外の金融機関に保有する口座や資産に関する情報を、米国内国歳入庁（IRS）に報告することを義務付けています。これにより、米国政府は納税者の海外資産を把握し、適切な税金の徴収を行うことが可能となります。この法律は、租税回避行為の抑止を目的としており、全世界の金融機関が米国の税法に協力することを求めています。

 

日本におけるFATCA

日本においても、FATCAは重要な意味を持ちます。

日本の金融庁および国税庁は、国内の金融機関に対してFATCAを遵守することを強く要請しており、日本国内の金融機関は、米国市民または米国居住者に該当する口座保有者の情報を収集し、それを米国内国歳入庁に報告する義務を負っています。

こうした情報の報告は、日本と米国の税務当局間での情報交換協定（Tax Information Exchange Agreement, TIEA）に基づいて行われ、租税回避の防止と国際的な税務コンプライアンスの向上に寄与しています。

 

FATCAの導入は、顧客の口座情報を精査し、適切な報告を行うためのシステムの構築や運用が必要であり、そのためのコストも少なくなく、多くの金融機関にとって大きな負担となりますが、これにより国際的な租税回避行為の防止が期待され、各国の税収の安定にもつながるとされています。

FATCAは米国の税務コンプライアンスを強化し、租税回避を防止するための重要なツールとして機能しています。その影響は米国内だけでなく、日本を含む世界各国の金融機関にも広がっており、国際的な税務コンプライアンスの枠組みを強化する一環として、ますます重要視されています。