セゾン投信のセゾン資産形成の達人ファンドは純資産総額が約2,800億円と多くの投資家が保有している人気の投資信託です。
ただ、「人気のファンドだから」というだけで買ってしまうと、大損してしまうこともあります。
そこで今回はセゾン資産形成の達人ファンドの特徴やメリット・デメリットなどを徹底解説していきます。
「セゾン資産形成の達人ファンドはおすすめなの?」
「セゾン資産形成の達人ファンドをもっと知りたい!」
という人のために、セゾン資産形成の達人ファンドがおすすめな人・おすすめしない人はどんな人なのかやセゾン資産形成の達人ファンドとほかのファンドとの比較もしていきますので、ぜひ最後まで読んでください。
- セゾン資産形成の達人ファンドは16年以上の運用実績があり規模も大きい
- セゾン資産形成の達人ファンドは長期的に基準価額が上昇している
- セゾン資産形成の達人ファンドはアクティブファンドなのでコストが高い
- コストが高いセゾン資産形成の達人ファンドは基本的におすすめではない
セゾン投信(セゾン資産形成の達人ファンド)の評判
まずはセゾン資産形成の達人ファンドを運用しているセゾン投信(運用会社)の評判を見ていきましょう。
セゾン投信は2006年に誕生した独立系の投資信託(ファンド)運用会社で、現在は3本(※)の投資信託を運用しています。
- セゾン・グローバルバランスファンド
- セゾン資産形成の達人ファンド
- セゾン共創日本ファンド
の3本
運用する投資信託数は3本と少ないですが、ファンドの合計運用資産総額は7,000億円を超えており国内有数の独立系投資信託運用会社です。
セゾン投信は、
「R&I ファンド大賞」を10年連続受賞
「リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン 」を9年連続受賞
するなど高く評価されています。
また、顧客の99%が利益を出しており、88.5%がセゾン投信を勧めたいと回答しているなど顧客からも評価されている点が特徴です。
口コミを見ると、セゾン投信の誠実な姿勢や長年の実績を評価する声が多数ありましたが、一方でコスト面でほかのファンドに見劣りするという声も見受けられました。
2023年に創業者の中野氏が退社しており、今まさに変革期を迎えているとも言えます。
続いて、セゾン資産形成の達人ファンドの概要や気になる運用リターンなどを確認していきましょう。
セゾン資産形成の達人ファンドとは
セゾン資産形成の達人ファンドは、セゾン投信が運用している3つの投資信託のうちの一つです。
ここでは、セゾン資産形成の達人ファンドの基本情報やどれぐらいのリターンが出ているのか過去の運用成績などを確認していきます。
ファンドの基本情報
ファンド名 | セゾン資産形成の達人ファンド |
投資対象 | 株式 |
投資地域 | グローバル(日本含む) |
為替ヘッジ | 無し |
ファンドの種類 | アクティブファンド |
ファンド形態 | ファンドオブファンズ |
購入時手数料 | 無し |
信託財産留保額 | 基準価額の0.1% |
信託報酬 | 実質年1.34%±0.2%程度(税込) |
NISA・新NISA対応 | 〇 |
ファンドの特徴
セゾン資産形成の達人ファンドは世界株式を投資対象とする「アクティブファンド」です。
アクティブファンドとは市場平均を超えるリターンを目指す投資信託のことを言います。
一般的に市場平均との連動を目指すインデックスファンドよりも値動きが大きく信託報酬などのコストが高い点が特徴です。
米国・欧州・日本を含むアジア・新興国といった幅広い地域に投資しており、地域ごとの投資割合は各地域の株式市場の規模を勘案して決定されます。
現在は北米(アメリカ)の割合が40%以上で、欧州・日本・新興国も投資対象です。
為替ヘッジはないので、国外に投資している部分については為替の影響を受けます。
ファンドオブファンズと呼ばれるファンドに投資する形態であり、株式に直接投資するのではなく、株式に投資している複数のファンドに投資している点が特徴です。
出典:投資信託説明書(交付目論見書)使用開始日2023年9月9日|セゾン資産形成の達人ファンド
投資先であるファンドの信託報酬も実質的な経費となるため、信託報酬は1.34%±0.2%程度(税込)と低コストファンドと比べると高くなっています。
ファンドの運用成績
出典:セゾン投 信 月 次 運 用レポート2023年12月号
過去の運用リターンを期間別にまとめたものが以下となります。
過去1年の運用リターン | 17.97% |
過去3年の運用リターン | 45.14% |
過去5年の運用リターン | 80.71% |
過去10年の運用リターン | 195.12% |
過去15年の運用リターン | 637.13% |
設定来の運用リターン | 273.21% |
1年以上投資した場合は全てプラスのリターンとなっています。
設定来の運用リターンよりも過去15年の運用リターンが突出して高いのは、リーマンショックによる影響です。
セゾン資産形成の達人ファンドが運用開始したのはリーマンショック(2008年)より以前であり、その後リーマンショックにより株価が大きく下落しました。
15年前がちょうど株価が低迷していた時期になるため、過去15年の運用リターンは突出して高い結果となっています。
セゾン投信で運用するメリット
セゾン投信で運用するメリットは主に以下の2つです。
- 長期の実績がある
- 運用者の顔が見える
順番に説明していきます。
長期の運用実績がある
セゾン資産形成の達人ファンドの運用は2007年3月15日から開始されており、長期の実績があります。
16年以上の長期の運用実績がある投資信託は国内では珍しいです。
投資信託での資産形成は、長期で積立投資を行うのが王道の投資方法です。
ですので、短期間で運用が終わり償還されてしまうような投資信託を選んでしまうと長期的な資産形成ができません。
その点、セゾン投信のセゾン資産形成の達人ファンドは16年以上という長い運用実績を持っているので安心できます。
さらに、セゾン資産形成の達人ファンドは、リターンの面でも長期的にしっかりとプラスの成果を出している投資信託です。
また、投資信託の規模=どれだけ投資家が買っているかを示す純資産総額も右肩上がりに増加しており、2023年11月末時点では2,839億円となっています。
長期の運用実績と右肩上がりとなっている運用リターンがセゾン投信で運用するメリットです。
運用者の顔が見える
セゾン投信は投資家向けのセミナーを積極的に行っており、運用者の顔が見える点もメリットです。
北海道から沖縄まで全国的にセミナーを開催しており、セゾン投信のファンドに投資していない方でも参加できます。
オンラインでの生配信や録画配信も行っているので、気軽に参加可能です。
運用者の顔を見て、生の声で運用方針や今後の見通しを聞くことで、投資する価値のあるファンドかどうかを見極めることができます。
ファンドの運用は運用者次第である部分が大きいので、ファンド運用者が信頼できるかどうか、実際に顔を見て声を聞いて決められる機会が多いというのはメリットです。
セゾン投信は「お客さまのためにのみ」資産運用業務に従事し、専ら長期投資に努めることを公約として掲げています。
顧客第一の姿勢を確立し、一切の利益相反行為を排除するとしており、購入時手数料を取らない直販方針も特徴です。
セゾン投信で運用するデメリット
セゾン投信で運用するデメリットについても考えてみましょう。
デメリットとしては以下の2つが考えられます。
- 投資信託の信託報酬が高い
- 投資信託を購入できる証券会社が少ない
詳しく解説していきます。
投資信託の信託報酬が高い
セゾン資産形成の達人ファンド自体の信託報酬は0.572%(税込)です。
アクティブファンドは一般的にインデックスファンドよりは手数料が高い傾向にありますが、セゾン資産形成の達人ファンドの手数料は、一見するとアクティブファンドとしては低水準に見えます。
ですが、セゾン資産形成の達人ファンドはファンドオブファンズという運用形態であるため、投資先のファンドの信託報酬も実質的に負担することになります。
そのため、実質的な信託報酬は年率1.34%±0.2%程度となります。
これは、アクティブファンドの中でも高い手数料水準だと言えます。
信託報酬は例えリターンがマイナスの年であってもかかる、信託報酬が高いというのは大きなデメリットです。
投資信託を購入できる金融機関が少ない
セゾン投信は投資信託の運用会社ですが、自社で販売も行う直販モデルが特徴です。
直販モデルにより投資信託の購入時手数料を無料とし、コストを抑えることができています。
ですが、投資信託を原則直販モデルで販売しているが故に、ファンドを購入できる金融機関が少ない点はデメリットです。
実際、ネット証券を含むほとんどの証券会社では、セゾン資産形成の達人ファンドを購入することができません。
個人投資家にも人気のSBI証券や楽天証券はセゾン資産形成の達人ファンドを取り扱いはしていますが、個人型確定拠出年金や金融商品仲介業者経由での購入しかできず、一般での取引はできない状況です。
多くの個人投資家が利用しているネット証券で、通常の方法で取引できないというのはデメリットと言えます。
セゾン資産形成の達人ファンドの評価
セゾン資産形成の達人ファンドを総合的に評価していきます。
投資信託を購入する際はほかの投資信託と比較することが重要です。競合ファンドとの比較を行った上で総合的な評価をしていきますので、気になる方はぜひチェックしてください。
競合ファンドとの比較
比較するのは以下2銘柄です。
- ひふみ投信
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
ひふみ投信はセゾン資産形成の達人ファンドと同じアクティブファンドであり、主に日本株式を投資対象としています。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は世界株式を投資対象とするインデックスファンドです。
ひふみ投信は株式アクティブファンドである点、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は世界株式を投資対象としている点が、セゾン資産形成の達人ファンドと共通項ですのでこの2銘柄をピックアップしました。
それぞれのファンドについて詳しくは、こちらの記事で解説しているので、気になる人はぜひチェックしてみてください。
これらの競合ファンドとの比較表が以下となります。
ファンド名 | セゾン 資産形成の達人 ファンド |
ひふみ投信 | eMAXIS Slim 全世界株式 (オール・カントリー) |
投資対象 | 株式 | 株式 | 株式 |
投資地域 | グローバル (日本含む) |
グローバル (日本含む) ※90%程度が国内株式 |
グローバル (日本含む) |
ファンドの種類 | アクティブファンド | アクティブファンド | インデックスファンド |
信託報酬 | 実質年1.34%±0.2% 程度(税込) |
年1.0780% (税込) |
年0.05775% (税込) |
運用リターン ※2023年11月末時点 |
1年:17.97% 3年:45.14% 設定来:273.21% |
1年:16.50% 3年:9.69% 設定来:549.66% |
1年:21.0% 3年:65.6% 設定来:105.9% |
ファンド 設定日 |
2007年3月15日 | 2008年10月1日 | 2018年10月31日 |
純資産総額 ※2023年11月末時点 |
2,839億円 | 1,607億円 | 16,854億円 |
運用リターンを比較すると1年リターン・3年リターンともにeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)>セゾン資産形成の達人ファンド>ひふみ投信となりました。
特に3年リターンでは大きな差があります。
設定来リターンでは全く逆の結果となりますが、これは設定日がいつなのかに大きく影響されますので、それほど重視する必要はありません。
信託報酬はやはりインデックスファンドであるeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)と、アクティブファンドであるセゾン資産形成の達人ファンド・ひふみ投信とは大きな差があります。
1%以上の差がありますので、500万円投資した場合コストの差は毎年5万円以上です。
セゾン資産形成の達人ファンドは、同じアクティブファンドのひふみ投信と比べても信託報酬が0.2%以上高い点は知っておきましょう。
ファンドを比較した結果、少なくともここ3年ではインデックスファンドであるeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)がより優秀な運用結果を残していると言えます。
リターンはほかのファンドよりも高く、かつコストは低いので頭一つ抜き出た結果となりました。
過去のリターンは将来のリターンを約束するものではありませんが、投資信託を選ぶ際の参考材料として知っておくべき事実です。
運用実績は十分もコストは高め
競合ファンドと比較した上でセゾン資産形成の達人ファンドを総合的に評価すると、運用実績は十分ながらもコストは高い投資信託であると言えるでしょう。
過去1年の運用リターンは17.97%、3年リターンは45.14%としっかりと上昇しています。純資産総額も2,839億円とファンド規模も大きく運用に不安はありません。
ただ、信託報酬は実質年1.34%±0.2%程度(税込)と競合ファンドと比べるとかなり高いです。
その上ファンド単体で見れば十分な運用リターンなのですが、競合ファンドと比べるとセゾン資産形成の達人ファンド以上のリターンを出している投資信託も多くあります。
総合的にはあえてセゾン資産形成の達人ファンドを選ぶ理由は少ないと言えるでしょう。
セゾン資産形成の達人ファンドはおすすめしない?
セゾン資産形成の達人ファンドがおすすめな人・おすすめしない人はどんな人でしょうか。
これまで解説してきたファンドの特徴や評価を踏まえた上で、どういった人がセゾン資産形成の達人ファンドがおすすめなのか、おすすめしないのかを説明していきます。
セゾン資産形成の達人ファンドがおすすめな人
結論から言うと、セゾン資産形成の達人ファンドは多くの方に基本的にはおすすめしません。
信託報酬が高く、リターンも競合ファンドに比べて勝っているわけではないからです。
ただ、16年以上の長い運用実績があり、長期で基準価額がしっかりと上昇していることは間違いありません。
ですので、セゾン投信の企業理念や投資信託の運用方針に共感している人、セゾン投信の信頼できる運用者に自分のお金を任せたいという人はセゾン資産形成の達人ファンドがおすすめできます。
いずれにせよ、セゾン資産形成の達人ファンドだけでなく、ほかのファンドと比較した上で投資先を選ぶようにしましょう。
セゾン資産形成の達人ファンドをおすすめしない人
多くの投資家は投資信託を選ぶ際にリターンとコストを重視します。
そういったコストパフォーマンスを重視する多くの投資家が、セゾン資産形成の達人ファンドをおすすめしない人です。
セゾン資産形成の達人ファンドは長期的に基準価額が上昇してはいますが、競合ファンドと比べて極めてリターンが良いというわけではありません。
また、信託報酬も実質年1.34%±0.2%程度(税込)と高めに設定されていますので、あえてこの投資信託を選ぶ必要はないでしょう。
投資の運用リターンがどうなるかは誰にも分かりません。
一方で、コスト=信託報酬は事前に知ることができますので、自分でコントロールすることが可能です。
そのため、長期的に突出したリターンを出しているわけでないのなら、よりコストの安い投資信託を選ぶことが重要になります。
アクティブファンド・インデックスファンド問わず世界株式を投資対象としている投資信託は数多いです。
「セゾン資産形成の達人ファンドがおすすめと聞いたから」といった理由でほかのファンドを見ずに投資してしまうと数年後に後悔することになるかも知れません。
今回比較した投資信託以外にも良質な投資信託はたくさんありますので、投資信託選びは冷静に行いましょう。
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セゾン資産形成の達人ファンドのまとめ
セゾン投信のセゾン資産形成の達人ファンドは、長期的に上昇している日本有数のアクティブファンドです。
運用期間も長く、純資産総額も2,800億円を超えており安定した運用実績がある点は評価できます。
ただ、コストが高いアクティブファンドであり、かつファンドオブファンズ形式であることから投資先のファンドのコストも実質的に負担することになり、信託報酬は高めです。
セゾン資産形成の達人ファンドが誕生して以降、低コストのファンドが多数生まれており、投資信託市場の環境は大きく変化しています。
そのため、現在の投資環境で投資信託を選ぶのであれば、セゾン資産形成の達人ファンドをあえて選ぶ必要性は少ないと言えるでしょう。
長期的な資産形成を目指すのであれば、必ず様々なファンドと投資対象や信託報酬などを比較し投資決定するようにしましょう。