ETF, ヘッジファンドとは
資産運用をしている人たちの中で再注目とも言えるのが「ETF」です。
ETF(Exchange Traded Fund)とは、上場投資信託のことであり、金融商品取引所で取引される投資信託のことです。
SNSなどを見ると
「とりあえずETFから始めよう」
「ETFを買っておけば大丈夫」
「結局ETFが一番良い」
などと言われており、多くの人が保有しているようです。
ETFが人気の理由は、ETFが特定の指数(インデックス)に連動されるように運用される金融商品であり、特定の株式(会社)に依存していない点にあります。
一般的な株式投資の場合、1つの会社の業績にパフォーマンスが左右されてしまうため、突然の暴落といったリスクがあります。
ですが、ETFであればその対象が「全世界株式」や「全米株式」「長期国債」などと広いため、些細な要因で結果が崩れにくいという考え方です。
つまり、ETFは「分散投資」によってリスクを軽減し長期資産形成を目指している人に支持されているのです。
会社単位では将来のことを予測するのは難しいけれど、「アメリカ」「世界」レベルで見れば長期的に見て成長が期待できると考えているのです。
分散投資は、複数の金融商品に資産を分ける=分散することで、個別銘柄の値動きによる資産への影響を小さくする、リスク管理の方法の一つです。
ETFは、それ一つの商品に様々な会社が含まれているので、個別株に投資するよりも分散されておりリスクが軽減されます。
一方のヘッジファンドが評価されている理由は、プロが運用してくれることによるパフォーマンスの高さと、収益の安定性にあります。
ヘッジファンドは、投資のプロであるファンドマネージャが率いる、資産運用専門の会社・組織であり、そのパフォーマンスは折り紙付きです。
ヘッジファンド全体のパフォーマンスを見ると、株式相場や投資信託と比較して圧倒的に高い成果を上げていることがわかります。
また、単にリターンが大きいだけでなく、ボラティリティ(≒不確実性)も低く抑えられている点も高く評価されています。
そんな2大人気とも言える、「ETF」と「ヘッジファンド」ですが、実際どちら優れているのでしょうか。
今回はETFの代表として話題の「VTI」、ヘッジファンドの代表として注目の「BMキャピタル(BM CAPITAL)」に焦点を当て、それぞれの特徴や違いを比較していきたいと思います。
【徹底比較】VTI or BMキャピタル
《基本情報》VTI
「VTI」とは「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」の通称であり、「CRSP USトータル・ マーケット・インデックス」に連動するよう影響されるバンガード社が提供するETFです。
バンガード社(Vanguard)とは、アメリカに本社を置く世界最大級の資産運用会社です。
2020年1月31日時点の運用資産総額が7.1兆ドル(約765兆円)であり、ブラックロック(BlackRock Inc.)に次いで、世界2位の投資信託・ETFの提供者としても名高い存在です。
「CRSP USトータル・ マーケット・インデックス」とは、アメリカ株式市場の大型株から小型株までを投資可能銘柄ほぼ全てをカバーした時価総額加重平均型の株価指数です。
難しく書きましたが、VTIについてザックリまとめると以下の通りです。
世界最大級の資産管理会社が
アメリカの株式市場全てに分散して投資するETF
VTIはアメリカのETFなので、楽天証券などでは「米国株式」として扱われます。
海外株式(ドル建て)で投資するのが少し難しい人向けに「楽天・全米株式インデックス・ファンド【愛称】楽天・バンガード・ファンド(全米株式)」という、投資信託化されたものもあります。
- 手数料
- 最低金額
- 為替の扱い
- NISAの適用
などの微妙な違いはあるものの、基本的には本家VTIと同様に運用されるものなので、より手軽に始めたいという人にはこちらもおすすめです。
《基本情報》BMキャピタル
BMキャピタル(BM CAPITAL)は「資産を守りながら増やす」という投資哲学の元、日本株で運用するヘッジファンドです。
会社の資産価値に着目し、十分に割安な株式にのみ投資する「バリュー投資」をベースにしており、堅実で着実なパフォーマンスを追求するファンドです。
https://n3epa.org/bm-capital-reputation/
それでは具体的に「VTI(ETF)」と「BMキャピタル(ヘッジファンド)」の違いを見ていきましょう!
運用方針の違い – インデックス投資 or アクティブ投資 –
先述の通り
- VTI:アメリカの株式市場全てに分散して投資
- BMキャピタル:日本株の中から割安な銘柄を選んで堅実に投資
とそれぞれ投資戦略・運用方針は異なります。
VTIは、いわゆる「インデックス投資」になるため、運用者(ここではVanguard)が試行錯誤して投資先を吟味・検討する訳ではありません。
インデックス投資とは、特定の指標(インデックス, index)に連動するように運用する投資の手法・考え方です。
VTIはアメリカ全株式をベンチマークとしますが、その他にも「日経平均株価」「TOPIX」「S&P500」など、様々な指標(インデックス)をベンチマークとする投資信託が存在します。
VTIは「全米の株式ほぼ全てに投資する」ものであり、アメリカ株式市場全体の成長に期待して投資するものです。
一方のBMキャピタル(BM CAPITAL)は、特定の指標やターゲットを目標にするのではなく、独自の基準で株式を調査・銘柄選定をして運用します。
ヘッジファンドとして、会社の業績・決算から株価の評価を行い、独自の視点・基準で株を売買し収益の最大化を目指します。
また、数十億円単位の資金を有するファンドだからこその資金力を活かし、大株主として投資先や取引先に働きかけ、株主の利益を最大化するための活動をする場合もあります。
このようにBMキャピタルのようなヘッジファンドは、独自の投資を行うだけでなく、その先の活動も通じてパフォーマンスを高めていきます。
BMキャピタルは「独自に評価・選定した割安な株式に投資する」ファンドであり、BMキャピタルの情報収集能力や銘柄選定のノウハウなど、ファンドマネージャの実力に投資します。
パフォーマンスの違い – 市況に左右される or されない –
インデックス投資とアクティブ投資の違いによって、VTIとBMキャピタルは、そのパフォーマンスも大きく異なります。
VTIは、アメリカ株式市場全体に投資しているため(大前提としてアメリカ市場そのものの成長を期待しているものの)、その時その時の市況・経済動向に価格が大きく左右されます。
下のグラフは直近5年(※2023年4月19日時点)のVTIの価格推移ですが、大きく見ると右肩上がりで成長しているものの2020年のコロナショックの時期には大きく価格が下がっていることがわかります。
また、直近1年(※2023年4月19日時点)の値動きを見ると、さらに大きく乱高下していることがわかります。
こうした経済全体を揺るがすような一時的な価格の上下は避けられないのがVTIのようなインデックス投資の特徴です。
一方で、特定の企業に投資しているわけではないため、個別の会社の業績にはほとんど影響を受けないという特徴もあります。
VTIは、コロナショックやリーマンショックのような、定期的に訪れる恐慌・暴落には耐えるしかありませんが、それを補っても、より長期で見れば利益が期待できると考える人に適しています。
一方のBMキャピタルは、会社独自の目線で銘柄選定を行っており、経済動向や市況にあまりパフォーマンスが左右されません。
実際に、日経平均株価が30%近くも下落したコロナショック期(2020年1〜3月頃)でさえ、プラスのパフォーマンスを維持したとの実績も残しており、外部の影響を受けにくいという圧倒的な強みがあります。
割安な銘柄を選定する「バリュー投資」BMキャピタルの投資手法は、ヘッジファンドの中でも特に相場に左右されにくい投資手法です。
そもそもBMキャピタルは、日本経済の成長や株式市場全体の成長に投資する考え方ではありません。
あくまでも「割安な銘柄」を見つけ出し、その株価が適正な価格に戻る合理性を利用して収益を追求します。そのため、常に一定のペースで安定したリターンが期待できます。
BMキャピタルは、市況・経済動向に左右されにくく、株式市場が一時的に下げ相場になっている時でさえも、安定したリターンが期待できます。
手数料の違い – 信託報酬 or 成功報酬-
ここまで解説してきたように、VTIを提供するVanguardは、運用のパフォーマンスに対して、大きなインセンティブはありません。
あくまでも「CRSP USトータル・ マーケット・インデックス」という、アメリカ株式市場全体を表す株価指数に連動するように運用される「仕組み」こそがVTIであり、全株式にバランスよく(=加重平均して)運用する手間を軽減するのがVTIのメリットです。
そのため、VTIの手数料は、運用している(保有している)額に応じて課される「信託報酬」が基本であり、またその手数料も非常に少額(0.03%)に設定されています。
この手数料の安さもVTIの人気の理由の一つです。
VTIは信託報酬のみ、また0.03%と非常に少額。
一方のBMキャピタル(BM CAPITAL)は、情報収集から会社の業績・決算の分析、評価、銘柄の選定、売買の判断、株主としての活動、、、など、
その活動は多岐に渡り、多くの専門性や高い知識、労力を割いて運用を実現します。
また、パフォーマンスについても、相場に左右されることなく高いパフォーマンスを追求しており、より高いリターンを実現することで、ファンドとしての評価も高まります。
そのため、BMキャピタルの報酬(手数料)体系は、運用のコストにかかる「信託報酬」に加えて、運用成果に応じて課される「成果報酬」も求められます。
また、より高度で専門的な業務をハードに全うするのに応じて、ETFと比較して手数料は高くなる傾向にあります。
BMキャピタルの手数料は「信託報酬+成功報酬」
また、その専門的な業務に応じて、手数料も高め。
BMキャピタルはヘッジファンドの中でも手数料が高く設定されていますが、手数料の高いヘッジファンドの方がより高いリターンが得られるということが2022年の最新の調査で明らかになっています。
スキームと条件の違い – 証券会社で200ドル or 直接契約1,000万円 –
VTIはETF(上場投資信託)なので、銀行や証券会社で(口座さえ持っていれば)誰でも簡単に買うことができます。
手続き自体はシンプルですが、実際に運用するVanguard、販売する証券会社など、様々なプレイヤーを介在することになります。
特に、投資信託化されている「楽天VTI」の場合、ファミリーファンド形式になっており、多重構造になっているので目に見えない手数料に注意が必要です。
また、上場投資信託(ETF)である、VTIは「1株」が売買の最小単位です。
2023年4月19日時点の価格が206ドルなので、大体200ドル前後(≒26,000〜27,000円前後)から投資を始めることができます。
また、いつでも売買することが可能であり、一般的な株式と同様に資金の流動性も高いです。
類似商品である「楽天・全米株式インデックス・ファンド【愛称】楽天・バンガード・ファンド(全米株式)」であれば、100円から投資することも可能です。
VTIは2~3万円から投資が可能。いつでも売買でき流動性も高い。
類似商品である「楽天VTI」であれば100円からでも投資できる。
一方のBMキャピタル(BM CAPITAL)は、いわゆる「私募」であり、銀行や証券会社などを介することなくファンドと出資者(私たち)が直接契約します。
「直接契約」と言うと、尻込みしてしまう人もいるようですが、携帯電話や各種保険などと同じ仕組みですね。
証券会社などを介さない分、仲介手数料やいわゆる「中抜き」が無いため、余計なコストがかからずシンプルで合理的です。
自社で直接募集・契約するスキーム上、少人数の投資家からまとまった資金を調達するため、投資(出資)に際して高いハードルがあります。
BMキャピタルは、ヘッジファンドの中では比較的少額からの出資を受け付けている方ですが、それでも「最低1,000万円」からの募集になるので、投資できる人は限られるでしょう。
また、投資家の人数が限られるからこそ、一部の投資家の影響によって急激に運用資金が流動するリスクを回避するための仕組みが設けられています。
ヘッジファンドの世界では「ロックアップ」と呼ばれ、出資・出金共にタイミングが限定されます。
BMキャピタルの場合は、3ヶ月に1度(年4回)募集と解約がありますが、逆を言えば、一度預けてしまうと3ヶ月は引き出すことができないため注意が必要です。
BMキャピタルは、ファンドと直接契約で最低1,000万円から。
また、ロックアップ期間があり、3ヶ月ごとにしか入出金ができないので注意が必要。
【まとめ】BMキャピタルとVTIはどっちがおすすめか
ここまで見てきたVTIとBMキャピタル(BM CAPITAL)の主な特徴と相違点の比較をまとめると以下のようになります。
VTI | BMキャピタル | |
分類 | ETF(上場投資信託) | ヘッジファンド |
運用方針 | 投資対象に準ずる | 守りながら資産を増やす 最小限のリスクで最大のリターン |
投資対象 | アメリカ株式全般 | 日本株式 |
投資手法 | 全体に投資 | 割安な銘柄を選定 リターンを最大化する働きかけ |
パフォーマンス | 経済動向に準ずる(相場次第) | 相場に左右されず安定 |
手数料 | 信託報酬(安い) | 信託報酬+成功報酬(高め) |
投資方法 | 証券会社から | 直接契約 |
募集条件/売買頻度 | 2~3万円から/いつでも | 1,000万円から/3ヶ月ごと |
結論から言うとVTIとBMキャピタルはそれぞれに良さがあり、個人的には両方を組み合わせて投資することをおすすめします。それぞれに適している人は以下の通りです。
VTI
おすすめな人
- 少額から運用を始めたい(数百円〜数万円)
- 何かあればすぐに運用を止めたい
- 20年、30年の目線で運用したい
- 一時的な損失など気にしない
- アメリカ経済の長期的な発展を信じている
おすすめできない人
- 一時的でも損失は嫌だ
- 為替リスクが気になる
- 安定して運用したい
BMキャピタル
おすすめな人
- プロの運用に興味がある、プロに任せたい
- 安定して資産を増やしたい
- 為替リスクは取りたくない
- 中期的(5年、10年単位)で運用を考えている
- まとまった資産を運用したい
おすすめできない人
- 少額から運用を始めたい
- 短期間で一気に資産を築きたい
相場の成長を期待するインデックス投資であるVTIは、特に成長著しいアメリカ市場に投資しており、今後大きく成長し大きな利益を得られる可能性を秘めています。
一方で、暴落のリスクもあるためまとまった資産の運用には適しません。
反対にBMキャピタル(BM CAPITAL)は、コツコツと堅実に運用することに適しており、大きな資産を運用するのに適しています。
まとまった資産を運用する場合、BMキャピタルのようなヘッジファンドをメインにしておくと安心できます。
一方で「バブル」のような大きなチャンスを掴めるように、そちらにも根回しをしておくことも大事でしょう。リスクを伴う投資の場合、出資額を少額に抑えることで
- 損をした場合もダメージが小さい
- 大きなリターンが得られる場合、元手が少額でも十分な利益になる
と、どちらに転んでもメリットがあります。
例えば、1,000万円を元手に運用を検討しているのであれば
BMキャピタルに1,000万円 × 月々5万円をVTIに積立
などのように組み合わせてみることも検討してみてください。