貯金する?投資する?最適なバランスで自分の資産を最大化しよう
なんとなく投資をした方がいいとは思いつつも、なかなか一歩を踏み出せないでいる人や、どれくらい投資に回して良いのかわからない人もいるでしょう。
とりあえず一生懸命貯金をしてコツコツ資産を増やす努力をしている人もいるでしょう。
貯金でも投資・運用でも、ほとんどの人にとっては老後に備えた資産形成が目的のはずです。
「投資にはリスクがあるから貯金の方が確実」
「自分には投資は難しそうなので貯金だけ頑張る」
「自分は割と収入があるので貯金だけで十分」
と考えている人もいるかもしれませんが、金利の低さや物価の上昇、老後に必要な金額の増加などを考えると、積極的に投資をして資産を増やしていくことも間違いなく重要です。
きちんと資産運用することができれば、老後までに元本を何倍にも増やしたり、月数万円の積み立てで1000万円以上資産を増やすことも決して夢ではありません。
もちろん、闇雲に投資に資金を注ぎ込めばよいというわけではなく、バランスを崩してしまうと日々の生活や家計に影響してしまいます。
ここでは、そんな「貯金から投資へ一歩踏みだすのが不安」という人に向けて、投資の適切な割合や、おすすめの投資方法を解説していきます。
貯金と投資のバランスは?1分でわかるまとめ
貯金するだけでなく、きちんとバランスを考え投資を行うことで、資産は効率的に増やすことができます。
ここで重要なのは「収入の〇〇%を貯金に、〇〇%を投資、〇〇%で生活をする」というように一括りにするのは非常に難しいということです。
月収が20万円の人と100万円の人では、生活の余裕や普段の貯蓄額も変わってきます。また、今ある貯金の金額でもバランスは変わってきます。同じ年収500万円の人でも、貯金が50万円しかない人と1000万円では「5割を投資に」といった場合の金額が全く異なるのです。
目安としては「資産全体のうち月の支出の2〜3倍を貯金、残りを運用・投資に回してOK」です。
「近々車を買う予定がある」「家を買う頭金が欲しい」などの特別な事情がある場合は調整が必要ですが、大体の目安にしてみてください。
年収300万円/貯金30万円/月の生活費20万円の人の場合
20万円×2.5=50万円なので、この場合はまだ積極的に投資を始めるべきではありません。まずは生活費を見直し、日々の家計がマイナスにならないようにしながら貯蓄を進めていきましょう。
年収500万円/貯金100万円/月の生活費30万円の人の場合
30万円×2.5=75万円なので、75万円を貯金として、残りの25万円を投資にまわしてもOKです。この場合、貯金と投資の割合は75%:25%になります。
年収800万円/貯金300万円/月の生活費40万円の人の場合
40万円×2.5=100万円なので、100万円を貯金として、残りの200万円を投資にまわしてもOKです。この場合、貯金と投資の割合は33%:66%になります。
年収1000万円/貯金500万円/月の生活費50万円の人の場合
50万円×2.5=125万円なので、125万円を貯金として、残りの375万円を投資にまわしてもOKです。この場合、貯金と投資の割合は25%:75%になります。
年収2000万円/貯金2000万円/月の生活費80万円の人の場合
80万円×2.5=200万円なので、200万円を貯金として、残りの1800万円を投資にまわしてもOKです。この場合、貯金と投資の割合は10%:90%になります。
このように収入や貯金額、日々の生活費によって、貯金として残しておくべき金額や投資に回せる金額は異なります。
重要なのは、貯金額が多ければ投資に回せるお金が増えるわけでも、収入が多ければ投資に回せる割合が増えるわけでもないということです。
大事なのは、生活費を基本としたバランスです。
日々の家計を見直しつつ、貯蓄と投資のよいバランスをキープしていきましょう。
貯金だけではダメ!適切な資産運用/投資で、自分の資産を効率的に増やそう
日本ではまだまだ貯金が重要視される傾向があり、世界と比べてもその割合は不自然なほどに高くなっています。
以下のグラフを見ても、アメリカやユーロ圏と比較して、日本だけが圧倒的に貯金の割合が高いことがわかります。
参考:資金循環の日米欧比較
- 日本:現金・預金[54.3%]/ 投資[16.0%]
- アメリカ:現金・預金[13.7%]/ 投資[55.0%]
- ユーロ圏:現金・預金[34.5%]/ 投資[31.5%]
※投資=債務証券+投資信託+株式等
なぜ投資・資産運用が重要かというと、金利が低すぎるため、貯金ではまったく資産が増えないにも関わらず、物価の上昇によってその価値が大きく下がってしまうリスクがあるためです。
金利が低い今の状況では、貯金こそリスクがあります。額面だけの金額を守っていてもなんの意味もありません。
年2%の物価上昇するケースで、貯金(年0.001%)と投資(年5%)をした場合とを比較してみましょう。それぞれ30年後には資産はこのようになります。
元本 | 1年後 | 5年後 | 10年後 | 30年後 | |
貯蓄額(+0.001%) | 100万円 | 100万10円 | 100万50円 | 100万100円 | 100万300円 |
物価(+2%) | 102万円 | 110万円 | 121万円 | 181万円 | |
投資額(+5%) | 105万円 | 127万円 | 162万円 | 432万円 |
たった年5%でも10年、30年と続けると、ここまで資産を増やすことができることに驚いた人もいるのではないでしょうか。
きちんと投資をすることで資産を大きく増やせることはもちろん重要ですが、それ以上に重要なのは、物価に対して貯金では追いついていない点です。
物価を100とした場合の貯蓄と投資の評価額の推移も見てみましょう。
ベース | 1年後 | 5年後 | 10年後 | 30年後 | |
貯蓄額(+0.001%) | 100 | 98 | 90.6 | 82 | 55.2 |
物価(+2%) | 100 | 100 | 100 | 100 | |
投資額(+5%) | 102.9 | 115.6 | 133.6 | 238.6 |
このように資産を安全に守っているつもりの貯金では、物価に対して価値が下がり続け、何もしなくても10年後には2割減、30年後には約半分にまで価値を失ってしまいます。
このような事態を避けるためにも、バランスよく貯蓄と投資を組み合わせて資産を守っていくことが重要なのです。
貯金と投資のバランスは? 家計を守りつつ資産を増やせる方法を考える
では、そんな資産運用について、いったいどれくらいの金額・割合を投資に回せば良いのか考えていきたいと思います。
結論から述べてしまうと、冒頭でも述べたように、目安は「生活費の2〜3ヶ月分を残して全額投資でOK」です。なぜそうなるのか詳しく解説していきます。
多くの人が投資を敬遠してしまう理由は「減ってしまったときに生活に支障をきたしたらどうしよう」という不安です。やはり家計は守らなければいけません。
この考えが付き纏ってしまうと、運用している間も不安にかられて間違った判断で売買をしてしまったりと、負の連鎖が続きかねません。
そのため、日々の生活費の2〜3ヶ月分は、投資に回さずに現金・預金として残しておくことをおすすめします。このお金を手元に残しておくことで、投資資金をキープしながら安定して運用することができます。
投資をはじめるにもまずは元手が必要です。十分な貯金がない人は、まずは生活費(支出)を見直したり、収入UPを目指したりすることをおすすめします。
大きな金額を運用には回せないけれど少しずつはじめていきたいという人は、月々の収支を見直し、その範囲内で積立投資からはじめていきましょう。NISAなどを活用することで税金面でも優遇されます。
「2〜3ヶ月分の生活費以外」とすると、資産全体の半分以上や70%、80%を投資にする計算になる人もいるかと思います。
「そんなにたくさんの金額を投資するのは怖い」「何かあった時のために銀行にもう少し残しておいた方がいいのでは」と思う人もいるかもしれません。
投資の経験が少ない人がつい見落としてしまいがちなポイントですが、一度投資に回したからといって、現金に戻せないわけではありません。
株や投資信託で運用する限り、基本的にはいつでも売却して現金に戻すことができるので、そこまで心配する必要はありません。
また、あまりにもたくさんの割合を投資に回すリスクについてですが、仮に2000万円や3000万円といった高額な資金を運用する場合、全額を株式などのリスクが高いもので運用する必要はありません。
大きな金額を運用する人は、その分キャッシュフローに余裕があるはずなので、流動性の低い(すぐには換金できない)ものに投資すれば良いのです。
例えば、債券などは、償還期間まで5年10年と続けなければいけないものもありますが、ほとんど元本保証と等しく低リスクで運用することができます。
実際に運用する金額と、その時のポートフォリオやおすすめの投資先については以下の記事でも詳しく解説しています。
日々の生活をベースに考えて、余裕のある資金はしっかりと投資して資産形成のために活用することをおすすめします。投資するからといって銀行に戻せないわけでも、全ての金融商品がリスキーなわけでもありません。
まずはしっかりと資金を確保するところからスタートしましょう。
自分が将来必要な金額、目標とする金額や運用期間(年数)などから、必要な元本を逆算し、それが実現できるように生活費を見直すという逆から考える方法もあります。
生活を見直したり、収入を増やすことができれば、投資できる金額は簡単に増やすことができます。自分自身に必要な資産運用の計画を立てることも重要です。
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では具体的な投資の方法について考えていきますが、まずはおすすめの代表的な投資先・金融商品についてポイントを確認していきます。これらを上手く組み合わせてバランスを取ることが重要です。
代表的な投資手法のポイント解説
まずはポートフォリオを考える前に、代表的な投資先についておさらいしておきましょう。
メリット | デメリット | おすすめ | |
株・投資信託 | 少額からできる 流動性が高い |
ハイリスク ハイリターン |
リスクを取る余裕がある人 少額ならどこに組み込んでもOK |
債券 | 原則元本保証 | リターンが低い 流動性も低い |
とにかくリスクを取りたくない人 積極的に資産を増やす必要がない人 |
不動産 | ローンが組める | 物件の良し悪しに 依存する |
良い物件を見つけた人 |
ヘッジファンド | プロに任せて手間なし 安定して高い収益性 |
まとまった資金が必要 怪しい話に注意 |
十分な資産がある人 手間をかけずに効率よく運用したい人 自分で投資する自信がない人 |
株式・投資信託
株や投資信託は、非常に自由に運用できるのが最大のメリットです。比較的少額から始めることができますし、急成長する銘柄を見つければ大きなリターンを得ることもできます。
また、基本的にいつでも売却できて、現金に戻しやすい点もメリットです。ただし、一方で相応のリスクも伴うので、ある程度ハイリスクハイリターンな運用と言えるでしょう。
債券
債券の最大のメリットは、元本が保証されている点です。例外的なケースもありますが、原則として満期まで保有することで投資額+利子が得られるため、ほぼ100%リターンを得ることができます。
ただし、きちんと満期まで保有することが条件になるので、一度投資してしまうとしばらくは現金に戻せない点に注意が必要です。
厳密には売却もできますが、債券投資のポイントである元本が保証されなくなります。
また、金利の範疇なのであまり大きなリターンも期待できません。
不動産
不動産投資のメリットは、ローンを組んで自己資金以上の大きな運用ができる点にあります。ただしローンを組むにはある程度の収入が必要になります。
一度投資してしまえば、基本的に管理会社に任せてほったらかしで良いので手間はかかりませんが、良い物件を見つけること自体に苦労する可能性は十分にあります。
また、売却のタイミングや買い手を見つける時にも慎重にならなければいけないので、ポートフォリオを埋めるよりかは「良い物件があれば」くらいに考えても問題ありません。
ヘッジファンド
ヘッジファンドは、投資のプロに資金を預けて運用してもらう投資手法です。プロに全てを完全に丸投げでお願いするので、手間もかかりませんし、自分で投資する自信のない人にもおすすめできますが、ある程度の資金(目安1000万円〜)が求められます。
プロが運用するためリスクが低く、安定したリターンも期待できますが、一度投資してしまうと数ヶ月〜1年程度は出金できない場合も多いので注意が必要です。また、ファンドを語った詐欺などにも気を付ける必要があります(※異様に高いリターンや実績の不透明なファンドには注意しましょう)
まとめ
メリット | デメリット | おすすめ | |
株・投資信託 | 少額からできる 流動性が高い |
ハイリスク ハイリターン |
リスクを取る余裕がある人 少額ならどこに組み込んでもOK |
債券 | 原則元本保証 | リターンが低い 流動性も低い |
とにかくリスクを取りたくない人 積極的に資産を増やす必要がない人 |
不動産 | ローンが組める | 物件の良し悪しに 依存する |
良い物件を見つけた人 |
ヘッジファンド | プロに任せて手間なし 安定して高い収益性 |
まとまった資金が必要 怪しい話に注意 |
十分な資産がある人 手間をかけずに効率よく運用したい人 自分で投資する自信がない人 |
では具体的に3つのケースを紹介します。まったく同じ人は少ないでしょうが、自身の年収や生活費、貯蓄額、運用の目標などから、どの程度の成果が得られるのかをシミュレーションしていくので、ぜひ自身の状況に置き換えていろいろと試算してみてください。
①30歳/年収400万円/生活費25万円/貯蓄200万円
月の生活費が25万円の人は、25万×3=75万円も貯金を残せば十分でしょう。つまり200万ー75万円=125万円を投資に回すことができます。
30歳の人が125万円を運用するなら「株式や投資信託」がおすすめです。具体的には「株式25万円、投資信託100万円」くらいの割合で、投資信託を基本にする方がおすすめできます。
30歳であれば十分にリカバリーが効きますし、まだまだ十分チャレンジする余地があります。
また125万円は、大金ですが投資の世界では決して大きな金額ではありません。不動産やヘッジファンドに手を出すにはまだ早いので、まずは手軽な投資信託などがおすすめです。
ちなみに125万円を30年後(60歳まで)運用した場合、年3%で303万円、年5%だと540万円にまで資産を増やすことができます。また年3%でも毎年25万円(月に2〜3万円)積立てていけば30年後には1467万円にもなります。まずは、コツコツと安定的に運用することが重要です。
②45歳/年収800万円/生活費50万円/貯蓄1500万円
月の生活費が40万円の人は、50万×3=150万円も貯金を残せば十分でしょう。つまり1500万ー150万円=1350万円を投資に回すことができます。
45歳の人が1350万円を運用するなら「ヘッジファンドや不動産投資を中心にする」のがおすすめです。具体的には「ヘッジファンドに1000万円、不動産投資(頭金)200万円、株50万円、投資信託100万円」くらいの割合です。
45歳にもなってくるとあまりリスクは取れませんし、ある程度年収の高い人の場合、忙しくて投資にかまけている時間がないという人も大勢いるはずです。とはいえ、将来のことを考えたらまだまだ資産を増やしていく必要があります。
ヘッジファンドや不動産であれば、一度投資してしまえば、あとはプロに任せることができるので時間の制約はありません。また、収入を活かしてローンを組めばより有効に運用できます。
ヘッジファンドも不動産も、一度投資してしまうと現金に戻しにくいですが、株と投資信託に150万円分投資しておけば、実質的な現金性の資産は、貯金と合わせて300万円あります。
ちなみに1350万円を20年後(65歳まで)運用した場合、年3%で2438万円、年5%だと3581万円にまで資産を増やすことができます。引退する時に2500〜3500万円の資産を持つことができれば、老後に対しても十分備えていけるでしょう。
③55歳/年収2000万円/生活費70万円/貯蓄3000万円
月の生活費が70万円の人は、70万×3=210万円も貯金を残せば十分です。つまり3000万ー210万円=2790万円を投資に回すことができます。
資産全体の約9割を運用に回すことに抵抗があるひともいるかもしれません。ですが、全てをリスキーなものに投資しなければそこまで慎重になることはありません。
例えば、以下のようなポートフォリオがおすすめです。
- 安全性の高い投資(債券):500万円
- 収益性の高い投資(ヘッジファンド、不動産投資):2000万円
- 換金性の高い投資(株、投資信託):300万円
- 貯金:200万円
十分な収入があり生活に余裕があるので、多少のリスクと収益性のあるヘッジファンドなどをポートフォリオの中心にすることをおすすめします。
特に1000〜2000万円を運用するような人にしか投資できない選択肢なので、活用しないのは損です。
貯金が200万円では不安な人もいるかもしれませんが、株や投資信託と合わせて500万円程度キープしておけばその不安も解消されるのではないでしょうか。
とはいえ、株のようなリスクの高い投資の割合を増やすことはおすすめしません。
残りは最も安全に運用できる債券などに投資することをおすすめします。収益性(リターン)は下がりますが、これで資産の大部分を守ることができます。
ちなみに2800万円を10年後(65歳まで)運用した場合、年3%で3762万円、年5%だと4560万円にまで資産を増やすことができます。これに加えて貯金も増やすことができれば、老後までに5000万円程度の資産が作れる見込みです。
まとめ
今回は、貯金と投資のバランスについて考えながら、実際に投資する場合のポートフォリオを、年齢や運用金額別でいくつか紹介しました。
ここで紹介したケースにまったく当てはまる人は少ないでしょうが、投資と貯金のバランスを考えたり、具体的な投資先の選び方について参考にしていただけるかと思います。
日本人は、必要以上に投資を怖がり貯蓄の割合を増やしすぎてしまう傾向があり、結果として将来資産価値が下がるリスクを高めてしまっています。
適切なバランスで投資すること、目的にあったリスクとリターンの投資をすることで、効率的に資産を増やしていけるよう、ぜひご自身の資産配分についても見直してみてください。