皆さんは投資信託をどうやって選んでいますか?
「利回り/リターンの良いやつ」
「手数料が安いもの」
「人気の銘柄」
「SNSでおすすめされていたので」
いろんな理由や視点で投資する銘柄を選んでいるとは思いますが、ここに挙げたような理由で投資信託を買っている場合、思わぬ落とし穴にハマってしまう可能性があります。
投資/資産運用の目的や目標によって、適切な投資先は変わります。投資信託のおすすめは一人一人違うのです。
本当に自分に合ったおすすめの投資信託はどのようにして選べば良いのか気になってきましたよね?
ここでは投資信託の種類や、投資信託(目論見書)を読むときのポイント、自分に合った銘柄の選び方について解説していきます。
投資信託は大きく2種類に分けられる
そもそも投資信託は大きく2つに分けることができます。それが、
- インデックスファンド
- アクティブファンド
です。
インデックスファンドとアクティブファンドのどちらを選ぶかによって、どのような運用方針になるかは大きく変わってきます。
まずは、大前提となるこの2つの違いとポイントをそれぞれ押さえておきましょう。
インデックスファンドの特徴
インデックスファンドとは、特定のインデックス(指標)に連動するように運用される投資信託です。
インデックスには様々なものがあり、日本株や米国株、新興国株などだけでなく、全てを含めた「全世界株式」や、それぞれを含めた「バランス型」などがあります。
代表的なインデックス:
- TOPIX(日本株)
- 日経平均/日経225(日本株)
- S&P500(米国株)
- NASDAQ(米国株)
- 新興国株
- 全世界株式
- バランス型(複合タイプ)
インデックスファンドは、それ1つに投資するだけで、日本やアメリカ、世界全体の株式全てに投資しているのと同じような効果があります。
例えば、TOPIX連動型のインデックスファンドに投資すれば、日本の上場企業3,923社(2023年12月12日時点)全てに分散投資しているのと同じ効果があります。
インデックスファンドの特徴は、その圧倒的な分散投資効果の高さです。
一企業単位で見た場合、業績や評判などによって株価は大きく動く可能性があります。新製品が好評だったり、業績が好調で株価が大きく上がる可能性もあれば、業績不振や不祥事などによって一気に暴落するリスクもあるのが、個別株です。
ですが、インデックスであれば、日本やアメリカ、全世界という国レベルの経済の話になるので、一企業への投資ほど簡単に乱高下することはほとんどありません。
この分散投資による、安定したパフォーマンスが、インデックスファンドが人気の理由です。
インデックスファンドは数多くありますが、同じインデックスをベンチマーク(基準)とするものであれば、基本的にほとんどパフォーマンスは変わりません。
そのためインデックスファンドを選ぶ際には手数料が大きなポイントになります。数あるインデックスファンドの中でも業界最低水準を掲げているeMAXIS Slimのシリーズの人気が高いのはそのためです。
eMAXIS Slimの詳しい解説はこちらの記事で
また、インデックスファンドは、この後解説するアクティブファンドと比べると比較的手数料が安い傾向があり、つみたてNISAなどに対応しているものも数多くあります。
少額から積立投資をはじめやすいため、特に初心者の方や若い人、これから長くコツコツ資産形成したい人などに向いています。
- 分散投資の効果が高いが相場に左右される
- 同じインデックスを対象としていればどの銘柄を選んでも比較的同じ
- 比較的手数料が安い
- 少額から始めやすく、つみたてNISAに対応しているものも多い
代表例:eMAXIS Slimシリーズ、楽天・〇〇・インデックスファンドシリーズ
アクティブファンドの特徴
一方のアクティブファンドは、「テーマ型ファンド」とも呼ばれ、ファンド(投資信託)ごとに運用の方針や戦略、目標がはっきりと決められています。
アクティブファンド/テーマ型ファンドが掲げる運用方針・投資戦略には以下のようなものがあります。
アクティブファンド運用方針例:
- 日本や海外の成長企業に投資する/守りながら増やす運用に挑戦する(ひふみ投信)
- 世界各国の株式を投資対象とし、長期的な財産の成長を目標に積極的な運用を行う(インベスコ世界厳選株式)
- 脱炭素への貢献が期待される企業を選定して投資する(脱炭素ジャパン)
- AIの進化、応用により高い成長が期待できる企業に投資(グローバルAIファンド)
このように「〇〇業界・産業」と具体的にしているものもあれば、「長期的な財産の成長」「成長企業に投資」といったある程度抽象的なものまで様々あります。
アクティブファンドは、ここにあるような大きな運用方針を掲げた上で、各ファンドごとのより具体的な銘柄選定基準も好評している場合がほとんどです。
それぞれの具体的な戦略には以下のようなものがあります。
- ひふみ投信:割安な銘柄を選別して積極投資、定量×定性両面からの評価
- インベスコ:「成長」「配当」「割安」を重視
アクティブファンドは、それぞれに独自の基準で運用を行うため、ファンドの運用責任者(ファンドマネージャ)の手腕によって成果が大きく左右されます。
優秀なファンドマネージャが運用すれば、その分パフォーマンスが良くなる可能性も上がるので、優秀な人材を登用するべく、アクティブファンドの手数料はインデックスファンドと比べると割高な傾向があります。
アクティブファンドは、相場に左右されることなく(ある程度の影響は受けますが)、安定して高い利回りを追求するものですが、運用を失敗してしまうと、大きく値下がりしたり、インデックスを下回る可能性もあります。
- 特定の分野に絞って運用する
- ファンドマネージャの手腕に大きく左右される
- 手数料は若干高め
- 将来的に大きなリターンを得られる可能性もあるがリスクもある
代表例:ひふみ投信、さわかみ投信、グローバルAIファンド、インベスコ世界厳選株式
投資信託の目論見書を読むポイント
投資信託についてきちんと理解するためには、『投資信託説明書(交付目論見書)』をきちんと読む必要があります(↓こんなの)。むしろ、目論見書さえ読んでおけば、その投資信託のことは全て書かれています。
参考:投資信託説明書(交付目論見書)使用開始日 2023.7.25|eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
目論見書は、ネット上でも公開されており「投資信託名 目論見書」で検索すれば誰でも簡単に見ることができます。
ですが、これまでに目論見書を読もうとしたことがある人ならわかると思いますが、投資信託説明書(交付目論見書)は、情報量も多く、何やら専門的な用語で細かく色々と書かれていて難しいですよね? どこから読んだらいいのかわからなくなったり途中で読むのを諦めてしまってはいませんか?
そんな方々に向けて、ここでは投資信託の目論見書をかんたんに読み解くポイントをいくつか絞って解説していきます。
投資信託の目論見書を読み解くときに必要なポイントは
- 投資の目的・運用の方法
- 手数料
- 純資産総額
- パフォーマンス
- 為替ヘッジ
です。
投資の目的・運用の方法を知る
投資信託について知るためには、まずはそのファンドが何を目的にどんな方針で運用をするのかを知る必要があります。
ここで「〜〜の値動きに連動する投資成果を目指します」などとあれば、それはインデックスファンドです。その場合には、何をベンチマークとしているのかをしっかりと押さえておきましょう。
また、その運用の目的・ゴールを達成するためにどんな方法で銘柄を選ぶのか、どのように運用するのかについても確認しておきましょう。
投資信託は、ヘッジファンドのように、ファンドが直接株を売買するのではなく、間接的に投資をするものがほとんどです。
投資信託の運用の仕組みには「ファミリーファンド方式」と「ファンドオブファンズ方式」の2つがあります。それぞれ簡単に解説します。
ファミリーファンド方式とファンド・オブ・ファンズ方式
まずはじめにファミリーファンド方式とは、マザーファンドと呼ばれる大元のファンドを通じて運用される仕組みのことです。
実際の運用は同じファンド(マザーファンド)が行うので同じ結果になりますが、投資家からすると、入口となる購入する投資信託を選ぶことができるので、自分の証券口座やNISA口座などに合わせて銘柄を選ぶことができます。
一方のファンド・オブ・ファンズは、1つのファンド(投資信託)に複数のファンド(ファンズ)が組み込まれているものです。
ファンド・オブ・ファンズの優れている点は、1つのファンドを通じて様々な運用を一度に組み込むことができる点です。様々な投資信託を買わなくても済むというメリットがあります。
ファンド・オブ・ファンズ方式の投資信託例:
- セゾン資産形成の達人ファンド
→ バンガード、アライアンス・バーンスタイン、FSSAアジア・フォーカス 他多数
手数料を見る
投資信託の手数料もしっかりと確認しておきましょう。投資信託には以下の3つの手数料があります。
- 購入時手数料:投資信託を新規で購入する際に課せられる
- 信託報酬(運用管理手数料):投資信託を保有し続けている限り課せられる
- 信託財産留保額(解約手数料):投資信託の解約(売却)時に課せられる
それぞれの数字を見る際のポイントを解説します。
購入時手数料は、基本的に販売会社(銀行や証券会社)が自由に設定することができます。そのため、目論見書では、購入時手数料の「上限」が記載されています。
同じ投資信託でも販売会社によっては購入時手数料に差があるので、なるべく手数料の低い証券会社で投資した方がコストを抑えることができます。
信託報酬は、その投資信託を保有し続けている限り発生するので、最も重要な手数料と言っても過言ではありません。「年率〇〇%」として記載されていますが、こちらは販売会社ではなく運用会社に支払う手数料なので、どの証券会社を通じて購入しても一律です。
最後に信託財産留保額(解約手数料)ですが、最近はほとんどゼロに設定されています。なので、そこまで気にしなくても大丈夫です。
純資産総額を見る
純資産総額は、ファンドの運用やパフォーマンスとは直接的な関係はあまりありませんが、その投資信託の人気を測ることができます。
純資産総額が、ファンドのパフォーマンスの伸び以上に増えている投資信託は、それだけ新規で購入=投資している人が増えているということであり、それだけ人気があります。
反対に純資産が減っている投資信託は、わざわざ解約する人が多いということなので注意した方がよいかもしれません。
ただし、単に少し値下がりしたからといって簡単に解約するのはおすすめできません。本当に良いファンドであれば、必ず巻き返しますし、値下がりしている時期は、安く増資できるチャンスでもあります。
パフォーマンスを見る
最も気になるであろう純資産とパフォーマンスについても確認しておきましょう。
「投資」ですから、やはりパフォーマンスは最も重要です。少しでもパフォーマンスの良い投資信託を選んで少しでも大きく資産を増やしたいですよね。
ただし、ここで「1年のリターン〇〇%」「設定来のリターン〇〇%」といった表面的な数字だけに捉われないように注意が必要です。
ファンドの運用を評価するときには、リスクとリターンのバランスを見ることが重要です。
目論見書には、以下のような「騰落率」を表すグラフも掲載されています。
参考:セゾン資産形成の達人ファンド|投資信託説明書(交付目論見書)使用開始日2023年3月11日
この騰落率の棒グラフが短いほど運用が安定している証拠です。
一般に、パフォーマンスの平均値が高くなると棒グラフ(最大と最小の差)も大きくなるのですが、平均値が高く棒グラフが短いものがあれば優秀なファンドと見ることができます。
上の例の場合、先進国株式は、新興国株式よりもパフォーマンスのブレが小さい(=棒グラフが短い)にも関わらず平均値が13.9と高く「先進国株式は、新興国株式よりも優秀」と見ることができます。
[参考]
また「投資信託のウエルスアドバイザー」のように、その投資信託のパフォーマンスをより細かく分析して数値化してくれているサイトもあります。
参考:eMAXIS Slim米国株式(S&P500)-ファンド詳細|投資信託[ウエルスアドバイザー]
ほとんどの人は期間別のトータルリターンくらいしか見ないでしょうが、個人的に最も注目する数値は「シャープレシオ」です。
シャープレシオとは、リスクとリターンのバランスを示す数値であり、この数値が高いほどリスクを抑えて高いリターンを出している=質の高い運用ができていると見ることができます。
シャープレシオについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。シャープレシオの基準や目安、シャープレシオが高いファンドなど紹介しているので参考にしてみてください。
為替ヘッジを見る
最後に為替ヘッジは押さえておきましょう。
国内の株式で運用するファンドであればそこまで気にする必要はありませんが、特に最近人気の高い米国株や全世界株式で運用するファンドの場合、為替は資産形成を大きく左右します。
為替ヘッジのあるものは、予め「ヘッジコスト」を支払うことで為替変動の影響を受けません。コストによってリスクを回避する方法です。
一方の、為替ヘッジの無いものは、為替変動のリスクを負うことになります。
リスクを負うというとデメリットだけを思い浮かべる人もいるかもしれませんが、為替が有利(日本人にとっては円安)に動けば、その分より大きなリターンを得ることもできます。
投資信託を選ぶときのポイント
ここまでの内容をおさらいすると、投資信託を選ぶときには以下のポイントが重要になります。
- 投資信託は「インデックスファンド」と「アクティブファンド」に分けられる
▶︎ 投資の目的をチェック - 手数料は信託報酬が最重要
- 純資産総額の推移で人気がわかる
- パフォーマンスは表面的なものだけでなく本質を見る
- 海外投資の場合、為替も重要
今、一般的に人気があるのは、圧倒的にインデックスファンドの方です。ランキング上位は、eMAXISや楽天を筆頭に、全米や全世界株式(オールカントリー、通称:オルカン)をベンチマークとした、インデックス系の投資信託が占めています。
もちろん、インデックスファンドにも強みはあります。
少額からはじめやすくNISAにも対応しているものが多いため、特に若い人が20年、30年と長期的にコツコツ資産形成したいのであればおすすめできます。
ですが、インデックスファンドの場合、その時々の景気(市場株価)に左右されるので、5年〜10年程度の中期で結果を出したいのであればあまりおすすめできません。
また、経済成長と同程度の株価の上昇と考えると、年2%程度の見込みになるので、やはり短い運用期間ではあまり成果が得られません。
ここ数年(2020年頃から)は株価が非常に好調で、インデックス投資でも大きなリターンを得ている人も多いですが、この数年の利益はあくまでもイレギュラーで、今後大きなより戻し=暴落があると考えている投資家も大勢います。
投資の本質を理解して、調子に乗らないように注意が必要です。
ある程度の期間(5〜10年)で確実にリターンが狙いたいのであれば、アクティブファンドの方が合っている人もいると思います。
ただ、注意が必要なのが、アクティブファンドはファンドマネージャ(運用責任者)の手腕に成果が大きく左右されるため、より優秀なファンドを見極める必要があります。
ファンドの実力(優秀さ)を見極める際には、表面的なパフォーマンス(年率〇〇%!など)だけでなく、騰落率の推移やシャープレシオなども確認することをおすすめします。
いわゆる一般的な投資信託(公募投信)のアクティブファンドの運用レベルはあまり高くないとも言われています。
もし、中長期で確実なリターンが期待できるような運用がしたいのであれば、ヘッジファンドもおすすめです。
ある程度まとまった資金は必要になりますが、優秀なヘッジファンドであれば、相場と関係なく年5〜10%ほどのリターンが期待できると言われています。
ヘッジファンドについて詳しくは以下の記事で詳しく解説しています。