資産運用の基礎知識と注意点

全ての投資に通じる株式投資の本質・大原則を解説

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株式投資の大原則

株式投資について調べるといろいろな理論や考え方が出てきますし、様々な指標を駆使した分析手法が紹介されていたりしますが、株式投資の基本は「安く買って、高く売る」に尽きます。

これは、株式投資に限らず、あらゆる投資に通じる本質であり、当たり前の考え方です。

さとる
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これはいわゆる「バリュー投資」という考え方ですが、世界最高の投資家の一人であるウォーレン・バフェット氏(Warren Edward Buffett)をはじめ、数多くの投資家が理念としている非常に重要なポイントです。
この「安く買う」「高く売る」を実践するために、どんなことを考えなければいけないのかをそれぞれ掘り下げていきたと思います。

 

安い銘柄の探し方

株式は、会社の一部分であり、全て(100%)の株を買うことは、その会社を丸々保有することと同じです。

つまり、その「会社の価値」と「株価」を比べて、その株式が安い(割安)かどうかを考える必要があります。

 

株価は、当然ながら調べればすぐにわかりますが、会社の価値を簡単に測ることはできません。

 

会社の価値とは、その「会社が(既に)持っている資産」と「将来稼ぐ利益」とを合わせたものです。

さとる
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書いてしまうと簡単ですが、これを求めることは容易ではありません。

 

「会社の資産は決算報告書からBS(貸借対照表)を確認すればわかる」と考える人もいるかもしれませんが、それらはあくまでも簿価であり、その本質的な価値を紐解くには、極端な話、全ての項目を一つ一つ紐解かなければいけません。

貸付金や、売掛金の中には回収不能なものもあるでしょう(貸付が100%と考える方が非現実的です)。

どの取引先に貸し付けているのか、その取引先の経営状況・財務状況はどうなっているのか、会社との関係性など、1つの項目を精査するだけでも、膨大な量の調査が必要になります。

 

そして、さらに難しいのはその会社が「将来稼ぐ利益(の合計)」の評価です。

もちろんその会社が発表している、業績予想を鵜呑みにするわけにはいきません。どの企業についても、将来の業績を予測するのは簡単ではないのです。

 

会社内部の経営努力によって、売り上げや利益率が改善されるかもしれませんが、当然のことながら社内だけに限らず、社外(競合や業界全体)のことも考えなければいきません。

ライバル企業の動向によって、業績が大きく左右されることもあるでしょう。

その会社が事業を運営し、どの程度の利益を守っていけるのかを考えるには、業界の勢力図や収益構造を考え、参入障壁がどの程度強固なのかを知る必要があります。

その会社の強み(コアコンピタンス)が、どの程度協力で、他社の追随を許さないのかを理解するためには、サービスや技術についての知識も必要になります。

何年も先に開発される新技術によって、その会社の事業が立ち行かなくなるような事態も想定しなければいけないかもしれません。

 

これら全てを総合的に考慮して「会社の価値」と「将来稼ぐ利益」を見積もって、はじめてその会社の価値を知ることができます。

さとる
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PERやPBR、ROEなどの指標は、もちろん参考にはなりますし、ある程度の”ふるい”にはなりうるでしょう。
しかし、ちんと会社を分析・評価しようと思ったら、これだけのことを考えなければいけないのです(ここで紹介していることも、ほんの一部にすぎません)

 

いつ買って、いつ売るのか

仮に、会社の分析ができて、本来の会社の価値が見積もれたとしましょう。

では、いったい「いつ買って」「いつ売る」のが良いのでしょうか。

 

もちろん「(見積もった)会社の価値」が株価よりも1円でも安ければ買いの候補・・になり得ます。

ですが、1円でも安ければ良いのか、10円安ければよいのか、10%安ければ良いのかをきちんと考えなければいけません。

 

これを考えるためには、候補となる会社をいくつも探し出さなければいけません。

割安な会社(買い銘柄の候補)を複数用意できれば、その中で「より伸び代があるもの」に投資することができます。

 

資産運用において重要な方法に「分散投資」があります。

これは、単一ではなく、複数の銘柄に投資することでリスクヘッジするという、基本的な考え方です。

 

では、仮に最終的に3社程度に投資することを目標にしてみましょう。

3社に絞るためには、候補となる割安の銘柄を5~10社は用意しなければなりません。もちろん調査・分析した会社が全て割安とは限らないので、この候補を探すために、20~30社程度は企業分析をしなければならないでしょう。

➡︎ 20~30社を分析する
➡︎ 割安な会社が5~10社に絞られる
➡︎ 実際に投資する3社を選ぶ

 

このように割安な銘柄を探し出して投資するだけでも非常に大変なことがわかりました。

 

そして、それ以上に難しいのが、株の「売り時」です。

金融の世界には「株は入り口にあらず、出口にあり」という格言もあるほど、売り時(出口戦略)は難解かつ重要であり、プロの投資家でさえ、株を手放すタイミングには苦労しています。

 

一般に、株を手放すべきと言われているタイミングは「株価が会社の価値を上回ったとき」です。

理屈は簡単でも、これを実践するのは簡単ではありません。

 

一度分析した銘柄も都度見直す必要があります。

会社の価値が変わらなければ、株価の動き(自身の評価を上回っていないか)を確認すれば良いですが、世の中は常に動いており、その会社の評価を適宜見直さなければいけません。

新たな情報を加えた結果、自身の分析が間違っていた場合は、失敗を認めてすぐに手放す必要があります。

 

また、株価は常に変動しているので、ポートフォリオのバランスも常に変化します。

値動きによっては、ポートフォリオの大部分が特定の銘柄になってしまうこともあるため、適宜売買をしてbランスを調整する必要があります。

 

そして、最も重要なのが、今投資している会社以上の利益が見込める投資先が見つかった場合です。

その場合は、今ある株を売って、新たな投資先に乗り換える必要があります。

つまり、一度どこかの会社に投資したとしても、常により良い投資先を求めて、調査・分析・評価を続けなければならず、投資を続けるには、果てしない作業が待っているのです。

 

株式投資が初心者に難しいワケ

ここまで説明してきたように「安く買って、高く売る」という非常にシンプルなルールで投資を実践するために、これだけの準備と作業が必要なことがわかりました。

もちろん、分析や評価の過程で専門的な知識も必要になってくるでしょうし、初心者には簡単でないことが理解できたかと思います。

 

加えて専門知識や膨大な業務量に加えて、株式投資が初心者(素人)には難しいのには、心理的な側面の課題もあります。

 

投資をしていて、連戦連勝、100%儲かるなどということはまずあり得ません。金額の大小はあれど、一時的にでも、部分的にでも損をすることは避けられません。

「損失」を取り消すことはできませんが、多くの一般投資家は、この”起きてしまった”損失の呪縛から脱却することができません。

仮に非常に割安なA社を見つけ出すことができたとしても、既に投資しているB社で損をしていた場合に、なかなかB社→A社に乗り換えることができず、ズルズルと悪い方向に流れてしまいます。

 

「最低限、損失を取り戻したい」など考えてしまう人もいるようですが、重要なのは過去の損失ではなく、未来の利益です。

 

これは反対に利益に対しても同様に考えることができます。

どんなに上昇トレンドにあったとしても、株価が会社の価値を上回っているところまで来てしまったなら、いち早く株式を売却し、次の割安株を探す必要があります。

「もうちょっと利益が欲しい」などの欲を捨て、常に冷静な判断ができなければ、どこかで必ず痛い目を見ることになります。

 

また、「利確10%、損切5%」などと言い、初心者が大きく賭けるリスクを排除する考え方もあるようですが、これはまったく本質的ではありません。

 

仮に10%値上がりしようと、きちんと会社の価値を分析し、株価と比較した結果、まだまだ割安だと判断できるのであれば、何年でもその株式を保有するべきです。

 

有名な話ですが、ウォーレン・バフェット(実際には彼が率いるバークシャー・ハサウェイ社/Berkshire Hathaway Inc.)はコカ・コーラの株を1980年代から30年以上も保有しています。

 

コカ・コーラの株はその間も値上がりし続けていますが、バフェット氏は株価以上に価値があると判断し、長期間に渡って保有し続けた(ている)のです。

ちなみに、バフェット氏が株を取得した1980年代当時の株価は2ドル前後ですが、2020年には60ドル近くまで株価を上げています。

コカ・コーラ社(The Coca-Cola Company)への投資だけで、実に20~30倍近くのリターンを得ていることになります。

ちなみに、心理学の世界では有名な話ですが、人間は同じ金額の利益と損失の場合、損失の方が精神的に2倍のショックを受けるようです。つまり、10万円の利益と5万円の損失を同程度のものと感じてしまいます。

この人間が本来持つ脳の性質をも乗り越えて、合理的な意思決定ができなければ、投資で成功を収めることなどできないでしょう。

 

なぜ投資信託はおすすめできないのか

少し話は逸れますが、株式投資と同様に語られがちな「投資信託」についても少し触れておきましょう。

 

特にテーマ型の投資信託などは、一切おすすめできませんが、これには「投資信託の適正な価格がわからない」という明確な理由があります。

つまり、投資信託の場合「その銘柄が割安なのか or 割高なのか」を判断することができないのです。

 

投資信託は、それを通じて複数の会社に投資する仕組みです。

よって、そこに含まれている全ての会社の株価が割安なのかどうかを評価しなければ、その投資が成功するかどうかが判断できません。

 

これは現実的に不可能です。

投資信託に含まれる銘柄は全てが公開されているわけではありません。ポートフォリオの大部分を占める、上位の銘柄に絞ったとしても、会社数が20社程度あり、またそれらは常に入れ替わるため、一般の投資家が全ての会社の分析をして追いかけることは不可能でしょう。

 

「流行りの業界であれば、今後の成長(将来の利益)が期待でき十分割安なのではないか?」と考える人もいるようですが、そう簡単な話でもありません。

 

仮に将来の利益が約束されていたとしても、株価がそれを上回ってしまっていては(割高の場合)、いつ暴落するかはわかりません。

 

2000年前後のITバブルでは、まさにこの現象が起きました。

インターネットの急速な普及によって、「これからはITの時代だ!」として多くの投資家が様々なIT企業に殺到しました。

もちろん、今でも多くのIT企業は成長・発展していますし、利益を生んでいますが、当時は投資家が過熱しすぎたために、異常なまでに株価が高騰してしまい、結果的にバブル崩壊による大暴落が起きたのです。

 

このように、株価の動向を予測するためには、各社の分析や評価が欠かせません。

どんなに成長する企業であったとしても、株価が高騰してしまっていては意味がありません。

現在の価格が「割安なのか or 割高なのか」が判断できない投資信託が、いかに本質的に投資に向いていないかは明らかです。

 

合理的な投資を実践するには

素人が膨大な調査・分析を元に冷静で合理的な意思決定を続け、投資で資産を増やしていくことがいかに難しいかをご理解いただけたかと思います。

「それでも一生懸命コツコツ頑張ろう」という方の考えも素晴らしいとは思いますが、多くの人は「自分で投資するのは難しそうだ…」と考えたくなってしまいます。

 

そんな方々は、ぜひ「投資のプロ」に運用を任せることを検討してみてください。

ヘッジファンド(=資産運用のプロ)に投資すれば、きちんと金融の知識を有したプロの投資家・組織が、冷静で合理的な意思決定の元、最適な投資を実践してくれるはずです。

 

投資先のヘッジファンドを判断するにあたっては、ここで紹介したバリュー投資を軸に「安く買って、高く売る」を実践できているかどうかを確認することが重要です。

例えば有名なBMキャピタルは徹底した株式価値の評価(バリュー投資)によって、これまで損失を出すことなく抜群に安定したリターンを記録していますし、ストラテジックキャピタルなどは、経営課題を的確に見極めることで高いリターンを記録しています。

特に、過去の投資実績(実際に投資した会社)について、その会社を投資先として判断した理由や分析の根拠などがはっきりしていれば、今後も安定した運用が期待できます。

 

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