投資信託の誤解
資産運用の方法として人気の「投資信託」
一昔前までの投資は、「お金に余裕がある人がするもの」「ギャンブル性がある」などのイメージがありましたが、少子高齢化が進み、年金にも頼れなくなった令和の時代において資産運用は、誰しもが取り組むべき新たなスタンダードになりつつあります。
そんな、誰しもが資産運用をする時代において人気があるのが「投資信託」です。
投資信託が人気の理由には
- 少額からはじめられる
- プロが運用してくれる
- 分散投資になる
など様々ありますが、これらを理由に投資信託での運用をスタートするのは決しておすすめできません。
最近ではLINEで資産運用ができたり、100円から投資ができるようなものもありますが、少額からはじめられるとはいえ、最終的には少しでも大きな資産を運用しなければ、そこにあまり大きな意味はありません。
100万円を2倍にすれば、その成果は+100万円です。どちらが重要かは明らかでしょう。
興味のある株を少しだけ買ってみたり、学生がお小遣い稼ぎ程度に手を出す分には構いませんが、本気で運用を考えている人にとって、少額からスタートできることは重要ではないはずです。
また「プロが運用」とも言われていますが、実際は目論見書で決定された方針に沿って売買をしているにすぎません。
ヘッジファンドのファンドマネージャを務めるような、著名で実力のあるトレーダーが運用を担うわけではないのです。
もちろん彼らは運用することが仕事であり、それによってお給料を得ていますが、イコール一流とは限りません。
これでは、運用を委任する相手としては不十分です。
自身の運用の成果によって報酬を得て、結果が出なければクビにされるようなプロフェッショナルではなく、新卒で一括採用され、会社の研修を受けて育ったような、いわゆるサラリーマンなのです。
例えば、トップアスリートを支援するような優秀なコーチやトレーナー(指導の成果が報酬に直結するような人たち)ではなく、会社の研修で育ったインストラクターぐらいの違いがあります。
最後に「分散投資」ですが、確かに投資信託を買えば、複数の会社に間接的に投資していることになるため、間違ってはいません。
投資信託を買えば、自分自身で一つ一つの株を買う手間を省くことはできます。
ただし「分散投資=良い」と考えている人がいれば、それは間違っています。
分散投資をすることで、リスクが軽減できるとは言いますが、一方でリターンも分散されてしまうため、期待した成果も得にくくなります。
投資で成果を得るためには、少しでも確実と思えるものに、ある程度集中して資産を投じなければなりません。
例えば、数百億円も運用するようなヘッジファンドでさえ、主な投資先は10社程度と言われています。
一方で、一般的な投資信託は、同じテーマで何十社もの株を保有しています。
そもそも、同質株(同じような業界の会社、関連する事業の会社)にばかり投資することは、より広い視点で考えたとき、分散投資としての意味をなしていません。
本当の意味で分散させるのであれば、異なる業界に投資したり、売りと買いを組み合わせたり、ライバル企業のに投資したりとそれなりの工夫をしなければなりません。
もちろん、一点張りのような方法ではリスクが高すぎるかもしれませんが、闇雲な分散投資はなにも考えていないのと同じです。
投資信託の一つの効果である「分散投資」を闇雲に信頼してはいけないのです。
なぜ投資信託はNGなのか
このように
- 少額からはじめられることに意味はなく
- プロと呼ぶには心許ない人たちに投資を委任し
- 闇雲な分散投資に意味はない
投資信託が決しておすすめできないことは先述の通りですが、投資信託が資産運用に適していないのにはそれ以上に本質的な課題があります。
それは「パフォーマンスが悪い」ことと「価格の評価ができないため、売り時・買い時の判断ができない」ことです。
パフォーマンスが悪い
投資信託のパフォーマンスは決して優れたものではありません。
分散投資を掲げている分、多くの企業に投資しており、トータルで見ると市場(マーケット)全体に投資しているのと大差ありませんが、手数料の分、パフォーマンスはマーケットを下回っています。
特に、投資信託の多くは、ファンド・オブ・ファンズ形式やファミリーファンド形式を採用しているため、表面的な手数料以上に、多くの目に見えない間接費用が裏側で発生しています。
金融庁長官の基調講演で非常に興味深い発言があったので、いくつか抜粋して引用します。
詳細については、引用元のレポートを見ていただきたいですが、これらのコメントだけでも投資信託がいかに多くの課題を内包しているかを感じることができます。
10年以上存続している日本の株式アクティブ型投信281本の過去10年間の平均リターンは信託報酬控除後で年率1.4%であり、全体の約三分の一が信託報酬控除後のリターンがマイナスとなっていました。
積立NISAの対象となりうる投信は、インデックス投信とアクティブ型投信あ わせて約50本と、公募株式投信5406本の1%以下となりました。
長年にわたり、このような「顧客本位」と言えない商品が作られ、売られてき たのでしょうか?
系列の投信運用会社は、販売会社のために、売れやすくかつ手数料を稼ぎやすい商品を作っているのではないかと思います。これまでの売れ筋商品の例をみても、ダブルデッカー等のテーマ型で複雑な投信が多く、長期保有に適さないものがほとんどです。こうした投信は、自ずと売買の回転率が高くなり、そのたびに販売手数料が金融機関に入る仕組みになっています。
私の友人の欧米の運用者たちは、24時間、365日絶えず市場の動向を注視しており、自分の資産も賭けて投資判断を行っています。心も身体も擦り切れるくらいストレスが溜まる一方で、成功すれば大きな報酬を得ることが出来ます。このように、欧米の一流の投資運用業は、スポーツの世界と同様、究極の実力本位になっていると感じます。それと比べて日本はどうでしょうか。運用会社の社長が運用知識・経験に関係なく親会社の販売会社から歴代送り込まれたり、ポートフォリオ・マネージャーは運用者である前に○○金融グループの社員であるという意識が強く、運用成績を上げるより定年までいかに間違いをせず無事に勤めあげるかが優先されてはいないでしょうか。
参考:「日本の資産運用業界への期待」 日本証券アナリスト協会 第8回国際セミナー 「資産運用ビジネスの新しい動きとそれに向けた戦略」における 森金融庁長官基調講演
以下のグラフからも、投資信託のパフォーマンスが優れないことは明らかです。
参考:ヘッジファンドのパフォーマンス特性 ~リスク・リターンの背景~
相場が上向きだったここ数年はそれでもプラスの成果が出ていたため、ほとんどの投資家は気づいていなかったかもしれませんが、このデータだけを見ても、投資信託のパフォーマンスがいかに優れないかは明らかです。
このパフォーマンスの悪さは、資産運用において重要な「長期投資」においては非常に問題です。
価格の評価ができない
投資信託の基準価格には正解がありません。
投信の設定時の価格を(一般に)10,000円とし、その価格を基準に上下します。
そのため投資信託には適正な価格もなければ、割安・割高の判断もできません。
つまり、投資信託は、全ての投資の大原則である「安く買って、高く売る」という超基本が通用しないのです。
結局は、大した根拠もなく「上がりそう」「下がるかもしれない」という雰囲気で売買するしかないのが投資信託です。
これでは、長期で安定して運用することはできません。
おすすめの運用方法は何か
このように投資信託は資産運用の方法として決しておすすめできるものではありません。
では、代わりにどんな運用がおすすめできるでしょうか?
やはり、王道の「株式投資」は外せません。
一つ一つの企業を詳細に分析・評価し、きちんと株価の割高or割安を見極めることができれば、より確実に運用することができるでしょう。
しかし、株式投資には、高い専門性や金融知識が求められますし、膨大な情報や、投資にかける時間・労力が必要になります。
みなし損失も含めた些細な値動きにも動じないメンタルも重要ですし、複数社に投資するのであれば、その労力も数倍になるため、一般の投資家には難しい点も多いでしょう。
そんな人たちにはヘッジファンドでの運用もおすすめです。
投資信託とは異なる、ホンモノの投資のプロフェッショナルである、ファンドマネージャに資産を預けるヘッジファンドは、マーケットを大きく上回るパフォーマンスも期待できます。
参考:ヘッジファンドのパフォーマンス特性 ~リスク・リターンの背景~
最低でも1,000万円を超えるような資金が必要になるなどのハードルもありますが、高いパフォーマンスが期待でき、初心者でも安定した成果がを得ることができます。
ヘッジファンドは、日本ではあまり馴染みがないため、あまりよく知らないという人も少なくないでしょう。以下のページでおすすめファンドをランキング形式で紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。